「ごめん遮って…。
あのさ…ヌナ…。
結局約束のデート、できなかったでしょ?
だから、とりあえず……
今日泊めてくれない?」
「は!!?」
私は彼の突拍子もない申し出に
完全に固まった。
「や……無理無理………」
「ヌナ明日休みでしょ?」
「なんで知ってんの!?」
「へへ。
事務室の人に聞いちゃった」
「え……」
「俺は明日仕事だけど
すごく早いわけじゃないし…。
何もしないからさぁ。たぶん…」
私は顔がカァッと赤くなるのを感じた。
それを見て
テヒョンくんは
「ヌナ可愛い~」
と言ってくるから
私は恥ずかしくてそっぽを向いた。
「お話したいだけだからさ。ね?ね?」
彼の圧しに負けて
「分かったよ……」
そう言うと
「やったー!」
と彼は私を解放してくれた。
その後
テヒョンくんにシャワーを貸そうと
準備するものの
まずい事に気がつく。
着替え…ないじゃん…
「テ…テテ……
あの…着替えって持ってる?」
テレビを見ている彼に聞いてみるも
「ないよ」
と答えられてしまう。
私の服は小さいだろうし…
「着替えの事なら気にしなくていいよ。
タオルだけ貸して」
そう言ってくれたから
「分かった」
タオルだけ用意した。
彼にタオルを渡すと
「お借りしまーす」
とバスルームへ向かっていった。
彼がシャワーを浴びている間
ある物で彼のお泊まりセットを用意して
一段落すると暇になったので
彼とのLINEを開いてみた。
「……64件……」
すごい数のメッセージだった。
でもそのほとんどは
『ヌナー』
『無視しないで』
『電話していい?』
というパターン。
彼の口から真実を聞いたからこそ
この大量のメッセージに
申し訳なさも感じた。