「ダメとかじゃない。
…でも……」
「でも、何?」
「テヒョンくんとだと
私……自信なくて………不安になるから…」
テヒョンくんは下を向く私に
「ヌナ、顔上げて」
と優しく声を掛けた。
「職業柄不安にさせちゃうかもしれない…。
でも…俺はヌナが好きだから…
抑えられない……」
彼は不意をついて
私をぎゅっと抱き締めてきた。
私は一気に心拍数が上がった。
「……緊張してる…?」
テヒョンくんが耳元でそう言うから
益々心拍数は上がる。
「し……失神……しそう…」
テヒョンくんの力と緊張で
声がかすれた。
「え!!?大丈夫!?」
テヒョンくんは私の言葉を本気にして
慌てて離れた。
でも私の顔を見て
「なーんだ、顔赤いだけじゃん」
と笑って
再び私を抱き締めてきた。
「俺も今すごくドキドキしてるよ?」
微かにテヒョンくんの心音が聞こえる。
「やっと戻ってきたんだって実感した。
あぁ~ヌナ暖かい……」
「体温高いのかな?」
「そういうわけじゃないと思うけど…。
なんか、ドキドキするのに
ホッとする…」
「ねぇテヒョンくん」
「ヌナさ
テヒョンくんて呼ぶのやめない?」
私が彼を呼ぶと
突然彼は呼び方を指摘してきた。
「え?」
「なんか子供みたいなんだもん。
年下感がちょっと嫌。
ヌナと同等がいい」
「え?ヌナって呼んでるくせに?
…まぁ別にいいけど…
じゃあ…V?」
「それは芸名だからやだ」
「えーじゃあテテ?」
「テヒョン」
「それはちょっと……」
「じゃあテテでいいよ。
くん付け禁止だからね!」
「はいはい…」
「で、ヌナは何を言おうとした?」
彼にそう言われて
私は何を言おうとしたか
すっかり忘れてしまっていた。
「なんだっけ……
まぁ…いいや!」