「断れなかったんだ…。
Big Hitの社長に頼まれたから…。
あの女の親は大富豪で
かなりの力を持ってる。
俺たちの海外での活動で
広い顔を効かして
人脈支援をしてくれたみたいで…。
でもああいう奴等は
結局は自分たちの利益を考えてる。
俺はそれに利用されただけなんだ」
ニュースはほんの一部しか流れない。
当然これがホントでも、周知されない。
本当に彼の言う事が正しいとすれば
彼は完全なる被害者だった。
「あの女は
俺と写真が撮れるように仕組んでた。
記者をおびき寄せるなんて
朝飯前だろうね…」
彼の話す事は
つじつまが合っている気がした。
でもたった1つだけ
引っ掛かることがあった。
それは
あの美女とのキスのこと。
「でも…あの女の人と…
キ……キ……」
「あぁ…キスのこと?」
彼は何でもないように話す。
「あれはさ…脅されたんだよ」
「脅された…?」
「そう。
私にキスしないと帰さないとか言うから…」
それでキスしちゃうわけ?
私は少し疑問に思う。
「家まで連れていかれるのはごめんだよ。
気持ち悪い…」
テヒョンくんは気持ち悪そうに
うぇーーっと言った。
「ホント…なんだよね…?
今話したことは…」
私は念を押して確認した。
「ヌナには絶対嘘つかないって約束する。
あ…あと、言っとくけど
ホントには
あの女の唇にキスはしてないから安心して。
唇からは外してやった」
テヒョンくんは少し笑ってそう言ったけど
私は返す言葉もなかった。