材料を切りながら
リビングに目を向けると




テヒョンくんは
サングラスとマスクを外した状態で
じっと
こちらの様子を見ていた。









「あの…やりづらいから…
テレビでも見てて」






リモコンでテレビを付けると
彼は体育座りで大人しくテレビを見始めた。



 














15分程でオムライスを作って
リビングのテーブルに持って行った。





「美味しくないかもだけど…どうぞ」






テヒョンくんにスプーンを渡すと

お腹が空いていたのか
彼はすぐに一口口に入れた。








すると彼は目をキラキラさせて






「うまい…」




そう言ってくれたのでホッとした。

















食べ終わって
食器を持って流しに向かうと


テヒョンくんが後ろからついてきた。









ん?という顔をすると





「洗い物はやります」




と彼は流しを横取りした。








勢いに圧されて
彼に洗い物を任せると



私は彼の横で買ったものを棚に仕舞う。






















しばらくは無言だったけど








彼は突然







「やっぱいいなぁ…こういうの」



と呟いた。









私は彼の突然の発言に






「え?何が?」

と聞く。








「2人でキッチンに並んでって
俺の憧れだから…」




と彼は手元を見ながらそう言った。








私は何と返したらいいのかも分からなくて





ただ





「そっか…」

とだけ言った。













洗い物も私の片付けも終わると
2人共
何となくリビングに行く。







床に置いていた雑誌を片付けていると






テヒョンくんが口を開いた。










「ヌナ…
今日は…付きまとってごめん」





テヒョンくんが私を見て
そう謝ってきたので


私は思わず片付けの手を止めた。