タクシーが動き出すと
急に自分がすっぴんだった事を思い出す。
私は恥ずかしくなって
マスクを目のギリギリまで上げて
前髪で顔を隠した。
その様子を隣で見ているテヒョンくん。
私はお願いだから見ないで…と
内心思いながら
窓の方へ顔を向けた。
事務所までの間
彼と私はずっと無言だった。
事務所に着くと
テヒョンくんは
私に行くように促した。
私は
「ごめん。今度ちゃんと払う」
と伝えて
事務室へダッシュする。
5分だけ余裕があったので
トイレに駆け込んで
適当にメイクをした。
事務室にギリギリセーフで入ると
上司に笑われた。
「さては寝坊だな?珍しいこと」
事務室には人が沢山いた。
そっか…
BTSが帰って来たんだもんな…
そう思っていると
「○○さん
今日と明後日で終わりなんでしょ?
寂しくなるなぁ…」
そう言われてハッとした。
そっか
明日休みだから
今日と明後日で終わるんだ…
なんだか妙に寂しさを感じた。
「うわ…寂しいなぁ…
噛み締めて仕事しなきゃですね!」
そう言うと
「○○さん、今週末空いてる?
送別会したいんだけど」
と聞かれた。
「大丈夫です!
あ、でも…そんな…いいんですか?
正社員でもないのに…」
「や~
○○さんにはかなりお世話になったから
是非やりたいってみんなが」
私は感動して
朝から泣きそうになった。
「じゃあ詳細はまた連絡するから
予定空けといてね!」
そう言われて
私は、はい と頷くと
みんなも仕事へ戻って行った。