休日、出勤を繰り返して





迎えたBTS帰国の日。









私はこの日と翌日を
意図的に出勤日にしていた。









お昼過ぎに
事務室の外が
少し騒がしくなったかと思うと
BTSのメンバーが事務室に顔を出してきた。









私は彼らを見ないようにして
パソコンに集中した。


















夕方定時を超えた頃

少し休憩しようと思って席を立つ。








事務室を出て
トイレに向かおうとすると





ふいに後ろから声を掛けられた。






「ヌナ!」






声ですぐに誰だか分かって
振り返る事ができなかった。












トイレに行って戻ると
事務室の前で
テヒョンくんが待っているのが見える。







私は平静を装い
気づかないフリをして
事務室に入ろうとした。






「ねぇヌナ。無視しないで」






彼は私の腕を掴んで
私の体を彼の方へ向けようとしてくる。






チラッと彼を見ると



少しやつれて、悲しそうな顔をしている。








可哀想だけど
もう何も信じられなくなった私は
心を鬼にして
彼に冷たく返した。







「ごめん。今対応で忙しいから」







私は彼の手を
もう片方の空いてる手で外して
事務室へ入っていった。














残された彼の事を想像すると
私の対応は残酷だ。





でも
もうこのまま去ってしまおうと
私は夜な夜な考えていたから


それを貫き通した方が良いと思った。











その後は
彼の事を考えないように
引き継ぎの仕事と問い合わせの対応を
必死に、半ばがむしゃらにやった。