机をさっと片付けて事務室を出ると
テヒョンくんは壁に寄り掛かって
髪をわしゃわしゃしていた。
このギャップは何なんだろう…
さっきと同じ人なのかと
疑ってしまうくらい
テヒョンくんは
さっきと打って変わって
大人の雰囲気を漂わせていた。
少し見とれてしまったけど
ハッ として
彼に声を掛ける。
「お待たせ…」
彼は私の声に振り返ると
ニコッと笑った。
「いいね。お待たせって。
デートっぽい」
「や…デートじゃないでしょ…」
「ヌナといる時は
いつでもデートだよ」
どうしてそんなこと
サラッと言えるんだろう…この人は
私は色んな意味で呆れた。
「ヌナ、帰ろ」
彼の後ろをなんとなくついて行く。
「あの…テヒョンくん。
私と居て、本当に大丈夫?」
不安になって声を掛けると
彼は歩きながら
マスクと眼鏡を取り出した。
「ほら。これならバレないでしょ?」
そう言って付けてくれたものの…
オーラとイケメン具合が
全く隠せていない。
私は焦って彼を止めた。
「やっぱり、やめよう?
全然隠せてないから…」
そう言ったのに…
「ほら、隠れてるよ?」
なんて
全然彼は分かっていなかった。
困ったな…
そう思っていると
テヒョンくんに腕を引っ張られた。
「いいから帰りましょ。
本当は手がいいんだけど…」
結局彼に流されて
一緒に帰る運びとなった。