ふとまだ手を繋がれている事に気づく。










「ねぇ、あの…手…そろそろ…」












テヒョンくんは振り返って
繋いでいる手に目を向けると









「あ…、これも今日は我慢する」








そう言ってそっと手を離した。



















部屋を出るとテヒョンくんは
今度は私に
答えづらい質問をぶつけてきた。









「ヌナはどういう人が好き?
ユンギヒョンみたいな人?」







私がチラッと
横に並んで歩く彼を見ると
彼と目が合う。








私は慌てて目を反らすと









「ん~分かんない。
好きになった人…かな」


と曖昧に答えた。











「え~それじゃ分かんないよ~
イケメンがいい?」





それでも彼はグイグイ聞いてくる。










「イケメンは…釣り合わないよ」





「釣り合うとかじゃなくて、好き?」









自分の事言ってるのかなぁって
私は内心少し面白くなった。











「好きでもない」 







「じゃあ嫌いでもないんだね!」








テヒョンくんはニコッと笑って
足取り軽く歩き出した。









彼独特の世界観に
私は迷い込んだようだった。


















ビルの出口付近まで来ると
私はテヒョンくんに別れの挨拶をする。







「明日も朝からだよね。
ゆっくり休んでね」



「ヌナ、本当に気をつけて帰ってね!
タクシーで帰って!」









そう言われたけど


お金が勿体無くて
タクシーなんて使っていられない。










私は彼に手をひらひら振って
歩き出した。


















なんだかすごい1日だった。
夢みたいで…。







正直色んな事に
どうしたらいいのか
分からなくなった

そんな1日だった。


















それからは足早に家に帰って
翌日の用意をした。








たまにテヒョンくんの
告白めいた言葉が頭に反復されたけど…









まさか本気なわけないと思って

なるべく考えないようにして眠りにつく。