とある日のMV撮影の休憩時間のこと
私は上司に呼ばれて
スタジオの隅で今後の話をする。
「考えてくれた?
あれから少し経ったと思うけど」
海外に行くかどうかの話だ。
「はい…。
でも…結論はまだ出てなくて…」
「迷ってるって事は
何か事情があるの…かな?」
自分の中ではもはや
行く、行かないの問題ではなかった。
丁度
今後の事を考えていたタイミングに
来た話だったので
私は慎重になっていた。
「…あの…実は…
ここで仕事を続けていくか
迷っていまして…」
その発言に
案の定上司は驚いた。
「え…どうして…
○○さんすごく楽しそうにしてるって
思ってたんだけど…
なんか…無理させてたかな…?」
「いや、そうじゃないんです!
先輩にも恵まれて
楽しく仕事をしているのは
間違いないです!」
「だったらどうして…」
「私…
前の会社では正社員だったんですけど…
やっぱり今後の事を考えると
安定的な仕事に就かないと
家族にも心配かけますし…
年も年ですし…」
「…そっかぁ…」
上司は否定することもなく
真剣に話を聞いてくれた。
「私は…○○さんが居てくれると
すごく嬉しいんだけど
○○さんの人生だから…
よく考えて
結論出してくれればいいから」
上司は優しい言葉を掛けてくれて
なんかホッとした。
こんな良い上司がいて
ここを離れるのは勿体ない。
だけどこれは
今よく考えるべき事だということは
明確だった。
私は少し時間を貰って
今後の事をじっくり
考えてみることにした。