音楽グループにおいて重要なのはMV。
今やその再生回数が
そのグループの運命を左右する
と言っても過言ではないと思う。
そのMVの撮影は結構コマ切れで
世の中に出回るものに仕上がるには
とてつもない労力と時間を要する。
でも
その大変な過程は
一般人はもちろん見ることはできない。
その行程を見ることのできる私は
本当にラッキーだと思う。
撮影中のBTSのメンバーは
休憩時間の彼らとはまるで違うように
大人っぽい表情や仕草をする。
普段の子供っぽさと
カメラを向けられた時の大人っぽさ
そのギャップは時に
彼らの''本当の姿''を分からなくもする。
例外なくテヒョンくんもそうだった。
たぶん偶然に
最近接する事の多いテヒョンくん。
彼の本当の顔は分からない…。
テヒョンくんは
私が入ったばかりの頃から
よく話をしてくれる子だった。
私が人見知りして、緊張していても
気さくに話かけてくれて
リラックスさせてくれる。
BTSの担当の日には
彼が私の唯一の救いだった。
だんだん私も慣れてきて
スタッフからも
信頼されるようになっていくと
私は日によって
担当グループが変わるようになり
あまりBTSの担当として働く日は
多くなかった。
しかしBTSの人気が急上昇して
スケジュールが密になってくると
私はほぼ専属状態で
BTSに付くことになる。
顔を合わせる機会が増えた事もあって
BTSのメンバーたちと
仲が良くなってきて
特に甘えん坊のマンネくんたちは
私によく話かけてくれていた。
今思えば
その頃からだったかもしれない。
彼らのギャップを
より感じるようになって
接し方に
戸惑いを感じるようになったのは。
年頃だからなのだろうか。
彼らはどんどん大人っぽくなってきて
それまで
少し子供に見ていた私は
彼らの色気に
ドキッとする事も増えた気がする。
そんな戸惑い混じりで接している中
偶然だとは思うけど
最近テヒョンくんとの距離を近く感じる。
物理的距離。
何を話すにも近い…気がする。
スタッフと芸能人は
共に動くものだから
距離は当然近いものなんだけど
近すぎて
何も思わないと多くのスタッフが言う。
私もそうだったはずなのに
なんか妙に
テヒョンくんとの距離を意識する。
なぜなんだろうか。
私はふと
そんな事を思いながら
撮影の補助をしていた。