収録が終わると


テヒョンくんは
ペコペコと共演者にお辞儀をしている。








私にはそれが可愛く見えて
思わずふふっと笑ってしまう。








仲の良い人にはタメ口だけど
礼儀正しさはすごくあって

だからみんなから好かれるんだろうなと
彼の言動はとても勉強になる。










共演者の中の女性が
テヒョンくんに話しかけに行っているのも
納得できる。




彼はみんなを自然と惹き付ける
正真正銘のアイドルなのだ。






 
今私が彼を
気になってしまっているのは
きっとみんなと同じ理由だ…


そう思い込んで
私は撤収作業を開始した。



















片付けが大方終わった頃

BTSのメンバーも着替えを終えて
楽屋から出てきた。






私はそれを見て
ハッ とストールの事を思い出し

首から手に持ち替えて
テヒョンくんの元へ走った。











「…テヒョンくん!
あの、これ…、ありがとう!
すごく助かりました。
洗って返すから、
もう少し預かってても大丈夫?」




そう聞くと





彼は私の手からストールを取って

自分の首に掛けた。










私は彼の行動に えっ と驚いた。




でも
彼は到って平然とした顔で




「付けて帰るので
洗わなくて大丈夫です」

と言った。









「や、でも…」




臭くなってないかな…
なんて気になって
少し不安でいたけど








「いいの。
あ、違う。大丈夫です。
風邪、引かないように
気をつけてくださいね」





テヒョンくんはそう言い残して
メンバーと帰って行った。












私はなんだかそわそわしたけど
他のメンバーもいる中で
彼を追い掛けるのは
なんとなく恥ずかしくて

諦めて彼を見送った。