「俺、結構ヌナの事よく見てるんで」
そんな事を
ニヤっと笑って言われて
それってどういう意味なの?
って思ったけど…
たぶん深い意味はない
そう思うことにした。
これで勘違いしちゃうんだろうな
世の女性は……。
顔も綺麗過ぎるから
真顔で見つめられたりなんかしたら
緊張を隠すのも大変だ。
だからというのもあって
今までテヒョンくんと
一対一で話す事はあんまりしなかった。
緊張隠しに
手に持っていたお酒を
ぐいっと飲み干すと
ふーっとため息をついた。
するとテヒョンくんは
私のグラスを見ながら
「俺も飲むから
ヌナの話聞かせてよ」
そう言ってきた。
そんな事言ってくれるなんて
可愛いと思ったけど
彼があまり
お酒が飲めないタイプだった事を
思い出す。
「飲めないんじゃないっけ?
やめといた方がいいよ~」
そう言い終わる前に
彼はお酒に手をつけてしまっていた。
「あ~…」
私は唖然としてその様子を見る。
彼はグラスの半分くらいで
顔が真っ赤になっていた。
「ヌ~ナ~、ほら早く話してくださ~い。
ヌナの頭の中は~
どうなってるんですか~?」
あ、ダメだ、これ完全に酔ってる。
私がどうしようかと思案していると
あろうことか
彼は手を広げて私にハグを求めてきた。
「ヌナ~ぎゅぅぅぅ~」