『ヌナ来てた?』
ライブが終わって
混雑でかなり時間がかかって会場を出た所で
ジミンからカトクが来た。
『いたよ』
そう返すとすぐに
彼から返事が来た。
『どこらへんいた?』
『遠く❤️』
『えー、それじゃ分かんない!』
そんなくだらないやりとりをして、
人混みが少し散ってきたから帰ろうと思って
ケータイをポケットに仕舞おうとすると…
ブー ブー
ケータイが鳴った。
画面を見ると
『ジミン』
私は通話ボタンを押して耳に当てた。
「ヨボセヨ?」
「ヌナはもしもし~↑って出ないと~」
ジミンはデレデレと笑いながら話しているのが声から分かる。
私は韓国に住む日本人(一般人)で
実はジミンと付き合っている。
私は一応韓国語が話せるけど、
ジミンは日本語の練習の為にも
私とは極力日本語で話したいと言ってくれて、
基本的に日本語でやりとりをする。
「ジミン、バカにしてるでしょ」
「してないよ~」
「絶対してる」
「ヌナ今どこ?」
「ん?会場の外だよ。
てか、連絡早くない?
まだ終わったばっかじゃん」
「だって僕、
ヌナの事ばっかり考えてるから~。
今から片付けとかあるんだけど、
ちょっと来れない?」
「どこに?」
「楽屋」
「えー、やだ」
「なんで?」
「…恥ずかしい」
「ヌナ恥ずかしいの~?❤️」
ジミンは私の事をからかっている。
「ヤ!」
私は思わずそう声を上げると
「裏口の所で待ってるから」
彼はそれだけ言って、電話を切った。
私は一応ジミンより年上なんだけど…
最近ジミンにいじられたり、
扱い方を分かられてる感がある。
彼はたぶん
強引にされると断れない私の性格を知ってて
私を来るように言って
一方的に電話を切ったんだと思う。
年下で甘えん坊で可愛いキャラなのに、
意外と強引だったり
いじってくる所が結構好きだから
別にいいんだけど…
でも彼には言えなくて、
結構強がってる。
私は彼に言われた通り、裏口に行く為に
来た道を引き返した。