''ジョングク。さっきの女の子は?''
どうせ誤魔化しても
マネージャーにはすぐバレるから
僕は包み隠さず話すことに決める。
''僕の好きな子です''
''日本人だよね?
どこで知り合ったの?''
''サイン会です''
''ARMYか…。付き合ってるの?''
''まだです''
一度沈黙が広がる。
''僕は交際に関して
とやかく言うつもりはない。
だけど
マスコミの事は考えなきゃいけないよ?
分かってるよね?''
''もちろん分かってます''
マネージャーはルームミラー越しに
僕に笑いかけた。
''なら僕にも情報共有を頼むよ。
仕事頑張ってくれれば僕も協力するから''
僕のマネージャーはだいぶ年上だけど
理解のある人で、僕は信頼している。
そんな人が味方でいてくれるのは
心強くて
人に恵まれてよかったと
心から思った。
寮に戻れば
今度はメンバーたちからいじられる。
''おぅジョングクお帰り~。
彼女は落とせた?''
''だからまだですって''
僕はクールにあしらった。
''いいなぁ…
俺も彼女欲しいなぁ…''
''ジョングクが日本人を選ぶってのが
ミソだよね''
''本当に日本語上手くなったよな。
今一番話せるんじゃないか?''
ナムヒョンに誉められて
僕は気分が良くなる。
でも
''そうだ!僕たちも日本語教えてもらおうよ!''
そんなテヒョニヒョンの提案に
僕はまたすぐ機嫌が悪くなる。
明らかに下心がはみ出しているからだ。
''ヒョン、ヌナは予約してるからダメです''
僕がすかさず言えば
テヒョニヒョンは
''ちぇっ。僕も日本人の彼女欲しい~''
駄々をこねるように言った。
''作ればいいじゃないですか''
「ぼく、にほんごー、わかりません」
なんて、少し分かる癖に言う。
「話せるんだから、話せばいいんですよ。
ほらこうやって」
僕がヒョンにアドバイスするように言うと
''じゃあ次のファンミーティングで
探してみようかな~''
とニヤニヤしている。
僕はヒョンを見て笑った。