-ジョングク目線-
今はその日のサイン会の
後半に差し掛かってきた所。
前半から熱烈なファンが多く
過剰なボディータッチを
スタッフが注意する場面もあるくらい
今回のサイン会はすごかった。
ファンでいてくれることは
ありがたい事だし
僕たちは
ファンがいてこそっていうところはあるから
ある程度は良いと思っている。
でも正直
怖いと思う所もあったりして…
世間で噂されている僕の“女嫌い“説は
そういう所から態度に出てしまっていたのが
原因かもしれない。
笑顔をキープするのも疲れてきたな…
そう思った時
僕の前に彼女は現れた。
彼女は僕の前に来た時から
恥ずかしそうにモジモジしていて
僕の目にはその様子が新鮮に見えた。
僕に会いに来てくれる人は
比較的自分から近寄ってくる。
でも彼女は控え目に
僕をちらっと見ては頬を赤らめて
決して近づこうとはしなかった。
その姿が僕にはとても可愛らしく見えて
気づいたら
僕は自分から歩み寄ろうとしていた。
「大丈夫?」
声を掛けて手招きしてみると
彼女はそろそろと近づいてきた。
僕を怖がっているかにも見えるその様子に
僕は可笑しくなった。
でも彼女は一生懸命
僕を気遣うメッセージを伝えてくれて
きっと控え目で優しい子なんだろうな
そう思った。
彼女は清楚でシンプルな格好をしていて
赤くなった顔は少し幼く見えて
可愛らしい。
僕の疲れは癒された。
彼女は恥ずかしくなったのか
僕が書いたサイン入りのグッズすら置いて
ここを去ろうとしていたので
僕は彼女に手を差し出す。
「ありがとう。握手、しましょう」
彼女は手をそっと出して
優しく僕の手を握ってくれた。
そのまま彼女はグッズを持って
隣のメンバーの元に行って
僕の前にも別の子がやってきたけど
僕にはその子の印象がずっと
強く残っていた。
そしてその後のイベントでも
練習中でも
彼女の事をふと思い出すようになる。
思い出しては
なんとなく可笑しくなって
ふふっと笑ってしまう。
ライブの時も彼女の姿を探した。
でも居たとしても
近くにいるとは限らない。
探しても見つけることはできなかった。
初めて会ったその日から1年
僕はやっとのことで
彼女に再会することができたんだ。
※イメージを膨らませる為、画像お借りしております。
