『消された記録』



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数日後の放課後。澪が、カメラを首から提げて写真部の暗室から戻ってきた。

「……やっぱり、変だよ」

彼女が持ってきたのは、数十枚のネガフィルム。 校舎の資料倉庫に眠っていた“旧写真部”の未現像データだ。
日付は──20年前、三浦蓮が姿を消した日を含んでいた。


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📷 事件当日の“影”

澪が暗室で丁寧に現像した写真を机に広げる。
そこには、今と大きく変わらぬ旧校舎の風景が写っていた。
だが、その一枚だけが異様だった。

「ここ、新聞部の前……だよね?」

「……ああ。三浦蓮が最後にいた場所だ」

写真の右端には、はっきりと“誰か”が写っていた。
だが、顔の部分だけが不自然にぼやけ、まるで光に焼かれたように色が飛んでいる。

「……これ、フィルムが劣化したってレベルじゃない」拓海が低く言った。

「撮影された“その人物だけ”を消そうとした形跡がある。わざとだ」

さらに数枚目の写真には、黒板前の掲示板に張り出された新聞部の記事が映っていた。
が、その中で「三浦蓮」の名前だけが黒く塗り潰されている。

「これは誰かが後から消したってこと……?」美結が眉をひそめた。

「ううん、それだけじゃない」澪がファイルを開く。

「図書室で、事件当日の『校内新聞』を探したけど……該当日だけ、ページが丸ごと切り取られてた。しかも、学校新聞の保存用ファイルごと“無くなってる”の」


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🧠 拓海の“確信”

「誰かが……三浦蓮という存在そのものを、意図的にこの学校から消し去ろうとしてる」

拓海は、パソコンのモニターに表示された図書館のデータベースを指さした。

「こっちも同じ。事件前後の週だけ、地域新聞のデータも消えてる。電子アーカイブ上からも完全に」

「偶然、じゃないよな……」陽翔が呟く。

「これは“証拠隠滅”だ。しかも、相当計画的に」拓海の目が鋭く光る。

「今も、俺たちの行動を見張ってる“誰か”がいるとすれば、その人物が……20年前の失踪と、記録抹消に関わった可能性は高い」

「でも、どうやって? 校内資料って、鍵もついてるし簡単には――」美結が疑問を口にした。

「逆に言えば、“簡単にできた人間”がいたんだろ」澪が冷静に返す。

「当時の教師か、管理職か、あるいは……生徒の誰かが協力していたかもしれない」


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🧩 “記録”が消された本当の理由

その夜、拓海は一人で資料室のコピーを見つめていた。
三浦蓮の名前。顔写真。学級名簿。すべて、ただの空白だ。
それでも、何枚かの断片から拾ったキーワードだけが残っていた。

> 「新聞部 特別号」
「告発記事」
「生徒指導室」
「……音楽室の鍵」



「蓮は……学校の何かを暴こうとしてた。だから消されたんだ」

拓海の声は、誰にも届かない夜の図書室に溶けていった。


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教室では、明日と変わらぬ日常が続いていた。
だが、少年探偵団の4人だけは、確かに知っていた。

“記録”が消えるということは、誰かの意志が働いているということ。

三浦蓮が、何を知り、何を伝えようとしていたのか――
それを知るには、次に彼が「向かった場所」を追うしかなかった。


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第6章を投稿致します。

以前、上げておりました第6章を削除致します。

お話は後半戦に突入しました。

引き続き、お楽しみください。