しかし、運転手の返事は、『このバスは特急なので、杭州までノンストップで行く』と言う、つれないものでした。
こうなったら、我慢するしかたがありません。
そう思うと目の前が暗くなりました。
その時、出発前に欧社長が言っていた事を思い出しました。
確か、欧社長は『杭州まで二時間』と言っていました。
それに『途中で停車する』とも言っていました。
停車しながら杭州へ行くバスが二時間かかるのなら、どこにも停車しないこのバスは、きっと二時間もかからず杭州へ着くに違いありません。
それならば、もう一時間は経っているので、あと三十分もすれば杭州に着くはずです。
そう考えると、チョットばかり心に余裕が出来ました。
ところが、それから三十分が経ち、四十分が経っても、一向に杭州らしき街並みは見えて来ません。
とうとう、下腹が痛くなって来ました。
もう我慢の限界です。
私『もう、もてん。ここでビニール袋にするばい。(もう我慢が出来ません。ここで、ビニール袋にしますよ。)』
そう二人に断わって、中腰で立ち上がりました。
幸いバスの乗客は少なく、前の座席にちらほら座っているだけです。
それに幸いな事に、私達は最後部の座席に座っているので、乗客が振り返らない限り、見られる心配はありません。
私は、中腰のまま、ビニール袋を広げて、その中に出そうとしましたが、どうしても出ません。
揺れる小舟の中では、なかなか出ないと言われますが、私は揺れる小舟の上からでも出来ます。
別に自慢するわけではありませんが、船釣りに行った時など、一緒に行った友達が出なくて困っている時でも、私は平気で用を足せます。
しかし。そんな私でも、バスの中で中腰のまま、ビニール袋めがけては、どうしても出ないのです。
どんなに頑張っても出ません。
中腰だから出ないのかも知れませんが、だからといって、立ち上がると、前の座席の背もたれの上にお宝が出てしまい、運転手からバックミラーで見られてしまいそうです。
もし、前方の乗客が振り返りでもしたら、丸見えではありませんか!
そうなったら、変態と間違われて、警察に突き出されるかも知れません。
中腰のまま、しばらく頑張ってみましたが、どうしてもダメです。
どんなに頑張ってみても、出ない物は出ません。
こうなったら、我慢するより仕方がありません。
そんな私を見て、欧社長とRさんは笑い転げています。
全く友達甲斐のない人達です。
結局、二時間のはずが、三時間近くかかって、やっと杭州に着きました。
バスが停まるや否や、トイレに駆け込みましたが、膀胱が膨らみ過ぎて、尿の出口を圧迫しているせいか、なかなか出てくれません。
しばらく頑張っていたら、やっとチョロチョロ出始めました。
そしてしばらくして、勢いよく出始めましたが、溜まりに溜まっていたので、終わるまでに、長い時間がかかってしまいました。
その後、どうも調子が悪かったので、日本に帰国後病院に行って、検査をしてもらいました。
その結果、【急性膀胱炎】と診断されました。
もう絶対中国のバスには乗りません。
それに、欧社長の『大丈夫です。』と言う言葉も、絶対信じません。
そう心に固く誓いました。