私がYOKさんの作戦を一蹴したので、私の攻略をあきらめたYOKさんは、今度はOH君の攻略にかかりました。
ところで、話は余談になりますが、YOKさんが下手な小物を作っていると言う事はすでに書きました。
その小物を、私や他の友達はプレゼントしてもらいましたが、OH君はまだもらっていません。
OH君が欲しがりますが、その度にYOKさんから『一番良くできた物をプレゼントします。』と言われ続けて三年が経っています。
そして、OH君はいまだにもらっていません。
今度は、YOKさんはそこを衝いて来ました。
YOKさん『分かりました。今から帰ります。でも最後のお願いです。私のプレゼントを受け取って下さい。
私は今度OHさんに渡そうと思って心を籠めて小物を作りました。以前約束していた小物です。本当は私が直接渡したいのですが、OHさんは、もう、私の顔を見たくないとおっしゃいました。だから私の顔を見なくて済むように、あなたが日本に帰る前の日に、フロントに預けておきます。私の最後のプレゼントです。どうかそれだけは受け取って下さい。お願いします。』
そう言って、涙を流しながら、本当にYOKさんは帰って行きました。
それを見てOHくんは呆然としていました。
勢いにまかせて、つい帰れと言ってしまったのです。
まさか本当に帰るとは思っていなかったようです。
OH君は泣きそうな顔をしていました。
しばらくして、OH君は『俺は、言い過ぎたやろか?(私は言い過ぎたでしょうか?)』と、しきりに後悔していました。
そんなOH君を見て、私は『OH君、こんな事は過去に何度もあったでしょう。その時も、すぐ元の鞘に収まったじゃあないですか。今度はプレゼントをくれると言うし、きっと大丈夫ですよ。』と、心の中でつぶやきました。
それにしても、OH君の純情さには呆れてしまいました。
しかし、敵は(YOKさんは)、私の想像以上の名優でした。
帰国の朝、OH君は『二人の最後の思い出の品』である、YOKさん手作りの小物をフロントに受け取りに行きました。
都合よく、フロントに日本語が分かるオネエサンがいました。
OH君『昨日の事だと思いますが、私宛に何か預かっていませんか?私の名前はOHです。』
フロントのオネエサン『OHさんですね。ちょっと待って下さい』
オネエサンは、キーボックスや机の下を捜していました。
そして・・・。
フロントのオネーサン『OHさんの分は何も預かっていません。』
OH君『ガーン!』
OH君(未練気に)『昨日でなかったら、今日かもしれません。今日、女の子が何か預けませんでしたか?』
フロントのオネエサン(無情にも)『今朝はどなた様の分も預かってはいません。』
OH君(諦めきれずに)『気が付かないほどさ小さな箱か、袋に入れたものかもしれません。捜してみて下さい。』
フロントのオネエサン(キッパリと)『捜しましたが、大きい物も、小さい物も、どなた様の分も何も預かっていません。』
OH君『・・・・・?』
そのやり取りを聞いて、私は思わず笑い出してしまいました。
そして、私は心の中でそっと呟きました。
『OH君、あなたはYOKさんにからかわれたのですよ。今回もあなたが怒っていない事を知っているから。そして必ず笑って許してくれると知っているから。今回は手作りの小物はあきらめなさい。いつか必ず一番よくできた小物をプレゼントしてくれますよ。』
しかし、YOKさんは最後の最後まで笑わせてくれました。
まるで吉本新喜劇です。
笑点なら座布団五枚でしょう。
YOKさん、名演技を十分楽しませてもらいましたよ。
それに、OH君、迫真の驚きご苦労さん。
その次バンコクに行った時も、OH君は懲りもせずYOKさんに電話をしていました。
そして、念願の『一番よくできた小物』を、YOKさんからプレゼントしてもらいました。
めでたし、めでたし。