チェンマイにノイさんと言う思い出深い友達がいます。
ノイさんはトゥクトゥクの運転手です。
日本語は全然話せません。
ノイさんにはJちゃんと言う日本人の奥さんがいます。
ノイさんがトゥクトゥクを運転している時はいつも隣にJちゃんが座っています。
それは赤ちゃんが産まれてからも変わりません。
Jちゃんはいつも赤ちゃんを抱っこしてノイさんの横に座っています。
とても仲の良い夫婦です。
二人はいつも一緒です。
だから、ノイさんが日本語が分からなくても、Jちゃんがいるので大丈夫です。
ノイさんは坊主頭でいつもニコニコ笑っています。
そんなノイさんに、私は『一休さん』と言うニックネームを付けました。
ノイさんは当時タイで大人気だった日本アニメの『一休さん』のあだ名が大変気に入って、とても喜んでくれました。
通りがいいので、今後はノイさんの事を一休さんと書きます。
私が一休さんと知り合った頃、タイでは外国人名義で車が買えるようになりました。
それまではタイ人名義でしか車を買えませんでした。
だから、車に関してのトラブルが絶えませんでした。
リタイアしてタイにロングステイしているオッチャンが、同棲しているタイのオネエサン名義で車を買って、別れ際にトラブルになる、と言った事はザラでした。
外国人名義で車を買えるようになったのでトゥクトゥクの運転手は困りました。
大幅に稼ぎが減ったのです。
何故なら、それまで一番のお得意だったロングステイの人達が自分の車を買ったので、お客が激減したと言う訳です。
その上、ロングステイしている人達の友達がチェンマイに遊びに来ても、友達の車を利用します。
その人たちも今まではトゥクトゥクのお客だったのです。
一休さんは『ダブルパンチだ。』とこぼしていました。
今、一休さんの一番のお得意は、飲み屋に勤めているオネエサン達です。
オネエサン達と契約して決まった時間に勤め先まで送迎しています。
だから、一番忙しい時間帯は午後七時前後と午前一時前後です。
私は時々一休さんの仕事が比較的空いている八時から十二時までトゥクトゥクを貸し切ります。
そして、私が知らない夜のチェンマイの街を案内してもらったり、タイの人達しか行かないような飲み屋で一緒に飲んだりします。
もし、貸し切っている間にお客から呼び出しがかかったら、一休さんはお客の所へ行きます。
私はその間ビールでも飲みながら一休さんの帰りを待ちます。
初めてトゥクトゥクを貸し切った時チャーター料を聞くと、一休さんはオズオズと手の指でその金額を示しました。
その金額は私が思っていたのよりつつましやかな金額でした。
だから、支払いの時に少し上乗せしてあげていました。
一休さんとJちゃんからいろいろな所へ連れて行ってもらいました。
チェンマイからずっと遠くの屋台で三人で飲んだ事もあります。
ある日、三人で飲んでいると、一休さんが『見るだけツァーをしましょう』と言い出しました。
続く