当たり前の事かも知れませんが、初めて行った外国で私が最初にする事は、その国のお金を使ってみることです。
そして、これまた当たり前の事ですが、その国の食べ物を食べてみます。
それも、レストランではなく屋台に行って食べる事にしています。
なぜなら、屋台料理にこそ、その国の本当の味があるからです。
その上、屋台にはその国の民情があふれているので、その国の雰囲気を感じるのに、こんなにいい場所はありません。
次に、その国の交通機関を利用してみます。
タクシーの乗り方は、世界中、どこへ行っても大差はありません。
汽車や電車や地下鉄やモノレールは、比較的に乗りやすい交通機関です。
例えば汽車に乗ったとします。
乗った駅から降りた駅までの駅の数を覚えておき、帰る時は、反対の線に乗り、乗ってきた駅の数だけ戻ればいいだけで、こうすれば決して迷う事はありません。
その点、バスは上級者向けです。
バスには沢山の路線があるので、ある程度地理や地名を知っていないと、どのバスに乗ればいいか、何処で降りればいいか、帰りはどうすればいいか、分からなくなります。
とにかく、外国へ行ったら、一日も早く現地の交通機関に慣れる事が肝要です。
そうすれば、自由に街を移動できるようになり、旅は一層楽しいものになります。
前置きが長くなりました。
これは、私がようやくバンコクの地理に慣れて来た頃の話です。
この頃はどうにか一人でバンコクを移動できるようになっていました。
バンコクにはチャオプラヤ川と言う大河が流れていて、その川の支流や運河がバンコクの街を網の目のように流れています。
そのため、昔からバンコクでは水上交通網が発達しました。
バンコクの街のあちこちに船着き場があり、陸上のバスやタクシーの渋滞を尻目に、通勤・通学・買い物等の人達を乗せた船がスイスイと川の上を走っています。
そんな光景を見て、私はつねづね一度は船に乗ってみたいと思っていましたが、残念ながら今まで機会がなく、いまだに船に乗った事がありませんでした。
ある日、屋台で大好きなカオマンガイ(タイ風チキンライス)を食べていると、 そばの船着き場に、満載の客を乗せた船が入って来ました。
そして、ここが終点なのか、乗っていた客はみんな降りてしまい、客待ちのために船はそのまま泊まっています。
それを見て、私は『チャンスだ。この船に乗ってみよう』と思い、急いでカオマンガイを食べて、その船に乗り込みました。
船と言ってもそんなに大層な物ではなく、後部に船外機を付けた、十人も乗れば満杯になる位の小さなボートでした。
しばらくすると、満員の客を乗せてボートは船着き場を離れました。
そして、ボートは徐々にスピードを上げ、チャオプラヤ川を快適に走ります。
ボートがスビードをあげるにつれ、心地よい川風が吹き付けて来ます。
夕焼けで西空が紅く染まっています。
とても綺麗な風景です。
ボートはあちらこちらで、客を乗せたり、降ろしたりしながら進んで行きます。
しばらく、ボートの上から眺める景色に見とれていました。
ところが、しばらくしてフト気が付くと、ボートには私と船頭さんの二人だけになっていました。
船頭さんと目が合うと、ニコニコと笑いかけてくれます。
まさに微笑みの国ならではの笑顔です。
しばらくすると、夕暮れ時になり、あたりは薄暗くなってきました。
そして、そのうち、だんだん川幅が狭くなり、所々に川にせりだした家が見えるだけになりました。
ジャングルと言えば大げさかも知れませんが、川岸には椰子の木や名前も知らない樹が生い茂っています。
私はどこか適当な所でボートを降りて、タクシーでホテルまで帰るつもりでしたが、ここはタクシーが通っているような所ではありません。
その上、ボートは私一人を乗せたまま、どこにも泊まりません。
一体ここはどこでしょうか?
そして、私はどうしたらいいのでしょうか?
続く