二人とも最悪の場合に対しては腹をくくりました。
しかし、厦門空港に迎えに来てくれているはずの李社長に連絡する方法がありません。
今なら携帯電話で連絡が出来るのですが、当時、私は国際通話が出来る携帯電話を持っていませんでした。
困ってしまい、どうしようかと思案していると、隣の日本人のアベックのオニイサンが目に入りました。
オニイサンは携帯電話で、知り合いに飛行機が遅延する事を伝えています。
オニイサンの電話が終わるのを待って、事情を説明して、携帯電話を貸してくれるように頼みました。
オニイサンは快く貸してくれました。
私『李さんの電話番号ば知っとるの?(李さんの電話番号を知っていますか?)』
Rさん『知らんばい。おおかた李さんは携帯電話ばもっとらすめ。(知りませんよ。多分、李さんは携帯電話を持っていないでしょう。)』
私『そんなら、厦門の工場の電話番号ば知っとるの?(それなら、厦門の工場の電話番号は知ってしますか?)』
Rさん『そりも知らんばい。(それも知りませんよ)』
私『あんた、なーん知らんじゃんの。そんなら、どうしゅうか?(あなた、何も知らないじゃあないですか。それでは、どうしましょうか?)』
Rさん『チョット待っとかんの。欧さんの電話番号なら、分かるかもしれんけん。(チョット待っていて下さい。欧さんの電話番号なら分かるかも知れませんから。)』
欧さんは厦門で李さんとは別の会社を経営している社長です。
Rさんが手帳を取り出して調べ始めました。
しばらくして、やっと欧さんの電話番号が分かりました。
こうなったら、欧さんが唯一の頼みの綱です。
電話に出た欧さんに、今までの事情を説明して頼みました。
私『そういう訳だから、厦門の空港まで迎えに来て下さい。』
欧さん『それはダメです。』
欧さんから、こんなつれない返事が返った来ました。
こんなに困っているのにと思って、少々頭に来ましが、ここは我慢のしどころです。
グッと我慢して再度頼みました。
私『無理を承知で頼みます。困っているので迎えに来て下さい。』
欧さん『迎えに行きたいけど、今、私は厦門空港から二百キロ離れた所にいます。時間的にとうしても無理です。』
欧さんは気の毒そうに私に言いました。
そうです。
私は中国大陸の広大さをすっかり忘れていました。
最後の頼みの綱の欧さんが来られないとなると、どうしたらいいか困ってしまいました。
そして思案の末、再度、欧さん電話をしました。
私『李さんの工場の電話番号を調べて下さい。そして、李さんに連絡を取って、私達の事情を伝えて下さい』
欧さん『分かりました。』
これで私達のトラブルが李社長に伝わる事を祈るほかありません。。
電話が終わり、アベックのオニイサンにお礼を言って、『電話代はいくらお支払すればいいでしょうか?』と聞きました。
するとオニイサンは『分かりません』と首をかしげます。
それを聞いていたオネーサンが『困った時はお互い様です。電話代は要りません。』と言ってくれました。
有り難い事ですが、そう言う訳には行きません。
『それじゃあ悪いから』と言って、大体の見当をつけてお金を差し出しました。
しかし、オニイサンは受け取りません。
押し問答の末、とうとう二人の好意に甘える事にしました。
旅先での親切ほど有り難い物はありません。
『ありがとう。二人にとっていい旅になりますように』と、心の中で感謝しました。
これで李社長に連絡がとれればいいのですが、まだ安心は出来ません。
もし李社長に連絡が取れていなければ、厦門に着いた後どうすればいいのでしょうか?
まだまだ不安は続きます。
続く