☆BTE 2022-2-28記
Moonlight On The Colorado:

 

この歌は、情緒的には分かりやすい、日本的ともいえるぐらいの歌ですね。今だったら、アメリカ人が、この歌を歌ったり、聴いたりするというと、何か、びっくりしそうです。

 

昔、ダンスホールで、よく演奏された曲だそうです。ラストナンバーがこの曲で、踊り終わって、ロマンチックな気持ちが高まる、そういう時代が懐かしい気がします。

 

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Moonlight On The Colorado(1930)
Composer:Robert A.King
Lyrics:BILLY MOLL

 

「Moonlight On The Colorado」英語詩:

 

曲名:コロラドの月

美艇香津 訳詩

 

Moonlight on the River Colorado
 かがやくつきのコロラド 
How I wish that I were there with you
 あなたといられたら

 

As I sit and find each lonely shadow
 さびしくひとりのかげ
Takes me back to days that we once knew
 いま、なつかしいひび

We were to wed in harvest time you said
 むすばれるあきのひ、まっているのに
That's why I'm longing for you
 そのことばに

 

When it's moonlight on the Colorado
 いま、かがやくつきのコロラド
I wonder if you're waiting for me too
 おしえて、あなたのこと 

(instrumental)

 

We were to wed in harvest time you said
 むすばれるあきのひ、まっているのに 
That's why I'm longing for you-ooo
 そのことばに

 

When it's moonlight on the Colorado
 いま、かがやくつきのコロラド
I wonder if you're waiting for me too
 おしえて、あなたのこと

 

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では、さっそく、見て行きましょう。

 

Moonlight on the River Colorado

 

the River Colorado コロラド川 

※アメリカ合衆国南西部とメキシコ北部を流れる主要河川の一つ。“Colorado”の語源は色つき(colored)であり、水が赤みを帯びた色をしていることが由来となっている。 川は長さ2,330km(1,450マイル)、水源は合衆国のロッキー山脈中央部、そこから南西に流れてコロラド高原を横切りグランド・キャニオンを刻み、アリゾナ州とネバダ州の州境となり、南に流れてカリフォルニア州とアリゾナ州の州境を形作ったあと、アメリカ=メキシコ国境をゆく。メキシコ国内でカリフォルニア湾の最深部に灌ぐ。

 

「Moonlight」は、「月の光」ですが、「コロラド川の月の光」と訳しては、テストの点数は10点を貰えるかもしれませんが、考えたいですね。「Moonlight」は、「Moon」と「light」だから「月の光」とするのは、辞書にそうあるからというだけで、それが、人の経験であることを忘れた辞書病とも言いたい様な結論ですね。テストでは、辞書にある通りに訳せば、文句は言われないので、それでよいのですが。というわけで、次の様になりました。


 かがやくつきのコロラド 

 

つまり、「Moonlight」は、「かがやくつき」という訳になります。「かがやく」という形容詞、形容語は原詩の単語にないので、そうは訳せないというのは、ひねくれた考えですね。また、「River」とあるのに、「川」が出て来ないのはおかしい、などという人もいるかも知れません。テストの採点者が2点か3点の減点をする事になるかも知れませんが、そういう交通事故もあると思わなければならないでしょう。

 

次の行に行きます。


How I wish that I were there with you

 

これは、この通りです。あなたと、コロラド川のほとりに、居れたのだったらよかったのに、という気持ちです。

 

 あなたといられたら

 

As I sit and find each lonely shadow

 

自動翻訳を見てみましょう。

⇒私は座ってそれぞれの孤独な影を見つけます

 

テストなら、悪くない点数を取れます。でも、「どういう意味?」と聞き返したくなります。ここで分かるのは、「寂しくて」、「一人で」と、その「影法師」、です。それを見ている自分が、座っているという事は、この場合、情報としては、最優先の事柄ではありませんね。というわけで、

 

 さびしくひとりのかげ

 

音符の長さも限られているので、これでよいでしょう。

 

そして、

 

Takes me back to days that we once knew

 

自動翻訳してみましょう。

⇒私たちがかつて知っていた日々に私を連れ戻します

 

おぼろげに推測できますが、まずは、何のことやら、これでは、分からないですね。

 

これは、「あの日に戻して/あの日に戻りたい」という事ですね。この一文の中で、語数が多く費やされていますが、「that we once knew」は、「私たちが、昔、知った」、つまり、「その日は、私たちの知っているあの日だよ」、というのです。この部分は、ほとんど言うまでもない事ですが、あえて、明確化するために言った、というか、この歌を聴く人への説明ですね。訳して、言語表現を変えるにあたり、それは、言い様があります。「私たちの知っているあの日だよ」、それは、懐かしいのです。この日本語、「なつかしい」には、その日に戻りたい気持ちは含まれている言葉です。なので、こうなりました。

 

 いま、なつかしいひび

 

次の行では、その思い出が語られます。

 

We were to wed in harvest time you said

 

wed 結婚させる、結ばれる

harvest 収穫

 

過去形で語られたのは、「収穫の時」、それは、「秋」です。あなたが言ったのです。それが、「We were to wed」、「私たち結ばれることになるはず、その予定」、だというのです。それを聞いてからの、この歌の今の状態があります。これは、続く行を含む、2行で言われています。訳では、同じく2行で、この事を訳しました。そのために、この行の訳文は、この行の英語構文とは異なりますが、次の行までの訳文で、英文の2行が訳されているのです。「それじゃだめ」という声もあるかも知れませんが、それに対しては、「どうしてだめなの?」、と言っておきます。というわけで、この行と、次の行の訳と、合わせてみて下さい。

 

 むすばれるあきのひ、まっているのに

 

That's why I'm longing for you

 

longing for  ~を心から望む、~を待ち焦がれる

 

「待っている(wait for)」よりは、もっと強い願いであることを表わしています。でも、その思いはわかりつつも、訳の言葉は、「待っている」です。その気持ちは、この歌の流れで分かりますし、想像がつきます。また、日本語の表現として、「望む」とか「待ち焦がれる」という気持ちは、言葉としては、なかなか、「待っている」以上には、言い切れないものですね。「『待っている』よりは、『待ち焦がれる』でしょう!」、「英語も、そのために、『wait』でなくて『long』でしょう!」と言う事になりますが、テストの回答はそれで満点ですが、歌では、そうも行かないですね。「どうして?」と重ねて問われても、それは、大学の先生に答えてもらいましょう。

 

 そのことばに

 

そして、コロラドの月を眺めながら、歌は終わります。

 

When it's moonlight on the Colorado

 

これは、何でもない、普通の英文ですが、この際、自動翻訳をみてみましょう。

⇒それがコロラドの月光である時

 

「it」は何を指しますかなどとは言わないで欲しいものです。「ほら、あれが」という感じですね。そして、「moonlight」という名詞が使われていますが、この文が「When」で始まっている事から、これは、物の言い方のあや、表現の工みであり、実は、「moon lights(月が輝く)」、その時に、という文なのです。そういうことで、

 

 いま、かがやくつきのコロラド

 

「いま」を訳に入れたのは、「it」の気持ちです。

 

そして、最後の行です。

 

I wonder if you're waiting for me too

 

I wonder 私は疑問に思う

 

この行を、自動翻訳で見ると、

⇒あなたも私を待っているのかしら

 

ずいぶん、こなれた訳になっています。あたりさわりにない文です。その意味は、この発言の前後の事情を見てみないと分かりませんね。英語で同じ事を言うのに、いくつか言い方はあっただろうと思いますが、「wonder」を使ったところに、それを言う人の気持ちが、「疑問」が現われています。訳文でも、それを表わせたらよいですね。それで、こうなりました。「教えて」に当たる英語は、原詩中にないし、「waiting」というこの歌の重要なテーマをなす言葉、英語、が訳されていません。それでいいのかと言われれば、それでいいのです、と答えるしかありません。

 

 おしえて、あなたのこと 

 

(instrumental)

 

この後、繰り返し、歌います。

 

We were to wed in harvest time you said
むすばれるあきのひ、まっているのに 
That's why I'm longing for you-ooo
そのことばに

 

When it's moonlight on the Colorado
いま、かがやくつきのコロラド
I wonder if you're waiting for me too
おしえて、あなたのこと

 

-完-

 

(余白残興)

 2022.2.28記:

 

1930年、この時代に、やり直すべきことが多々あったのだろうと思います。日米は、お互いに、十分よく理解できたのではないかと。経済は、世界中が混乱していて、それどころではなかったとも言えますが、だからこそ、しようとすれば、何でも出来たともいえるでしょう。

 

ありがちな、すれ違い。コロラドの月は、「我、関せず」でしょうか。

 

この歌はジャズではないんでしょうね。普通によい曲です。大正時代に、初めて口にしたクッキーみたいなものでしょうか。

 

YouTubeを拾っておきます。