☆BTE 2022-3-7記
My Blue Heaven:

 

この歌は、戦前、昭和初期、「青空」という曲名で、日本でも、米国での発表と時をほぼ同じくしてヒットしました。ジャズ歌の代表曲の1つです。「楽しい我が家」に帰る、サラリーマンらしき人の姿が、親しみを感じさせます。

 

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My Blue Heaven(1927)
Composed: Walter Donaldson
Lyrics: George Whiting

 

「My Blue Heaven」英語詩:

曲名:しあわせのあおいくに

美艇香津 訳詩

 

When Whippoorwills call, and, evenin' is nigh
 せまるよる、とりがなく
I'm hurry to my little Blue Heaven
 いそぐわたしの、あおいくに

 

And it comes to the right, and leads to a little white light 
 みぎのほう、ちいさなひが
And, leads to my, a little Blue Heaven 
 そこはしあわせの、あおいくに

 

You'll see a smilin' face, a fireplace, a cozy room 
 えがおとだんろのあたたかなへや
Oh, little nest that nestles that where the roses bloom 
 くつろぐすみかにバラもさく

 

That's a baby and me, and Molly makes three
 こどもがいて、モーリーで3にん
We're happy in my Blue Heaven
 しあわせのあおいくに


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では、さっそく、見て行きましょう。

 

When Whippoorwills call, and, evenin' is nigh

 

Whippoorwills ヨタカ(夜鷹):平地から山地にかけての森林や草原などに生息する。
夜行性で、昼間は樹上で枝に対して平行に止まり休む。抱卵中に危険を感じると翼を広げて威嚇する。鳴き声は大きく単調な「キョキョキョキョ、キョキョキョキョ」。

 

nigh 近くに、近くで

evenin' (evening) 晩、夜◆日没または夕食の時刻から就寝時刻までの間

 

鳥が鳴いています。夜も近いのです。ここで言われる鳥が、辞書を見ると「ヨタカ(夜鷹)」とあります。あまり、なじみのある鳥ではありません。夜行性、そして、鳴き声が「キョキョキョ」などというので、この歌の情景が少し分かりますね。これを、自動翻訳すると、

 

⇒ヨタカが鳴く時、および夕方は、 近くである

 

ちなみに、「Google」では、「⇒Whippoorwillsが電話し」と出たのには、少しびっくりでした。意外な弱点があるようです。

 

それはともかく、まず、「ヨタカ」という鳥の名称は出してもしょうがないので、「とり」で済ませます。それに、「よたか」という語は、「江戸時代の街娼(がいしょう)の一種で、夜になると出て来て...」、などとあったりするので、ますます、その名称では歌えないですね。というわけで、その情景は、次のような事ですね。

 

 せまるよる、とりがなく

 

次の行で、この歌の主役が紹介されます。


I'm hurry to my little Blue Heaven

 

Heaven 天、天空、天国、極楽、たいへん幸福な状態
 

ここでは、訳語は、「天国」の方を選びました。この歌が進むと分かりますが、そこは、楽しい我が家なのです。そうすると、「Blue Heaven」は、「青い天国」、とうか、日本語的には、「青い極楽」ということで、言っている事は分かりますね。そして、「Blue」ですが、辞書を見ると、「青い、青ざめた、.憂鬱な、陰気な」、などという言葉しか出て来ません。それでは、この歌の歌う所とは異なります。それで、「Blue」という語そのものではなく、その色としての意味、英語での「青い色」の持つ意味を探ってみると、空や海を表わすのですが、その他に、「自由」や「信頼」、「知恵」、などを表わすらしい事が書いてありました。訳としては、その様な捉え方をする事にしました。もちろん、「青い鳥」という、幸せを象徴する「青」もあります。

 

それで、「Blue Heaven」は、「幸せの国」という捉え方になりました。この言葉を、そのまま歌うのは、音符の長さの都合で、少し後になりますが、その代わりに、「青い国」という言い方で、訳を進めました。それは、「Blue Heaven」という語、そのままの訳とも言えるので、それで、却って、この歌の原詩に忠実とも言えるのかも知れません。

 

 いそぐわたしの、あおいくに

 

次の行で、この歌の登場人物は、仕事を終わり、家に帰る途中です。

 

And it comes to the right, and leads to a little white light 

 

具体的な様子が語られます。「右に行く」のです。どうして「右に」、なぜ「左に」ではないの、という事を誰も質問はしないと思いますが、言葉の一つ一つを、丹念に、丁寧に、掘り下げようとすると、ついつい、そういう迷路に入ってしまう事もないわけではないのです。ここは、この登場人物が、自分の家に向かう途中の様子なので、そう書いてある通りなのです。「a little white light(小さな白い灯)」が見えています。そこに導かれている、この登場人物自身がいるのです。普通の情景ですね。だから、この行を、「leads」があるから、「導かれる」という訳語がなければならないと考える必要はないのです。それを、聴く人の、それぞれの経験の中に、把握できていればよいのです。というわけで、訳では、「comes」も、「leads」も、「white」も、省略できてしまいます。

 

 みぎのほう、ちいさなひが

 

次の行で、それがこの歌の主題であることが言われます。

 

And, leads to my, a little Blue Heaven 

 

「a little Blue Heaven」です。そこに導いてくれるのです。「leads(導く)」という単語があるから、それを訳出せよというテスト問題ではないのです。この歌のこの行を訳します。それは、この言葉の通り、それ以下でも、それ以上でもないのです。「Blue Heaven」の事は、少し前に言いました。なので、
 

 そこはしあわせの、あおいくに

 

次に進みます。具体的な描写が語られます。

 

You'll see a smilin' face, a fireplace, a cozy room 

 

cozy 〔場所が〕暖かい、居心地が良い、くつろげる

 

自動翻訳を見てみましょう。

⇒あなたは笑顔、暖炉、居心地の良い部屋を見るでしょう

 

これでよいですね。これを、音符の長さで、日本語で言うと、こうなりました。

 

 えがおとだんろのあたたかなへや

 

そして、さらに、その場所の描写が追加されます。

 

Oh, little nest that nestles that where the roses bloom 

 

nest 巣、隠れ場所

nestles 〔家などが~に囲まれた〕快適な場所にある、〔~を〕心地良く落ち着かせる

 

この行は、文法的にはどうなんでしょうか。難しいですが、要するに、分かります。だから、こうなりました。前の行にあった様な、笑顔、暖炉、そして、バラの香り、色。それは、寛げる場所ですね。「『寛ぐ』って『relax』じゃなかったっけ」、などと考え込む必要はありません。我々の自分自身の経験が、これは「寛ぐ」と、教えてくれます。日本語ネイティブには、他の言葉も、あるかも知れませんが。

 

 くつろぐすみかにバラもさく

 

そして、ダメ押しの、幸せな家庭が告げられます。

 

That's a baby and me, and Molly makes three

 

Molly 女性の名前です。インターネットを見ていたら、こんな記事もありました。

 

※..モリーという名前は、メアリー、マーガレットという名前のよくある変化形であり、
何世紀にもわたって、ダブリンには多くのモリー・マローンという女性が実在していて、..

 

この歌の背景に繋がる事情が窺われます。

 

「and me」は訳さずに、了解してもらいます。なので、

 

 こどもがいて、モーリーで3にん

 

そして、この歌の結論です。文の文法的構造は違いますが、そう言う意味なので、

 

We're happy in my Blue Heaven
 しあわせのあおいくに

 

-完-

 

(余白残興)

 2022.3.7記:

 

この歌に、附け加える事はほとんどないですね。夕方に鳴くのは、日本ではカラス、暖炉もバラもありませんが、障子の灯影が暖かい、というところでしょうか。この歌の主人公の妻の名前が「モーリー」というのが、親しみを増します。我国なら、「ちよ」、「はる」、「はな」、あたりでしょうか。

 

YouTubeを拾っておきます。

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