☆BTE 2021-12-21記
Get Out and Get Under the Moon:

 

この歌は、1928年で、当時のポピュラーソングであり、戦後の米国のジャズシンガーの1世代前の歌手達、ジャズシンガー、が歌っています。YouTubeで当時の歌手たちの名前を探ると、この記事の最後に、そのYouTubeを拾った、ヘレンケインや、アネットハンショー、ルースエティングなどの名前が出て来ます。

 

その頃、米国で、レコードが広く出回り始め、そうした歌手のレコードを、日本でも聴いていたものと思われます。時は、大正末から昭和の初めです。その頃の、日本の、ヌーベルバーグの面々に、何か親しみを感じられるのは、後ろで、ジャズ歌っぽいメロディが聞こえるからかもしれません。

 

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Get Out and Get Under the Moon (1928)

 Composer: Larry Shay
 Lyrics:Charles Tobias and William Jerome


「Get Out and Get Under the Moon 」英語詩:

曲名:つきのひかりのてらすよる

美艇香津 訳詩

 

What do you do in the evening,

 ゆうぐれになんにも
When you don't know what to do?

  することのないとき

Read a book, play a game,

 ほんをよんだり、ゲームをする?

Read a book, play a game,

 でも、なにをしてもおなじ!

 

What do you say if I tell you

 ブルーなきもちで
How to keep from feeling blue,

  いたくないなら
My advice is good to stay,

 すぐできる、やさしい
And it's easier to do.

  アドバイスがある

 

When you're all alone, any old night,

 いつものよる、ひとりで、
And you're feeling mighty blue,

 ゆううつなだけ、でも、、
Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとは、つきのひかり

 

Underneath the bright, silvery light,

 ぎんのつき、あかるく、
You'll be feeling better soon,

  すぐに、すてきなきぶん
Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきのひかり

 

La-de-da-da-da-da, look! Look! Look at those stars above!
 ラ、ラ、みて、そらの、
Ah, look, look, look at those sweeties love,

 ほし、あまいあいの、
Oh, boy, give me a night in June!

 ゆめ、ろくがつのよる

 

I mean it, when you're all alone, any old night,
 だから、いつものよる、ひとりで、
And you're feeling out of tune,

 ちょうしのでないとき

Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきのひかり

 

When you make a date, any old night,

 いつものよる、デートで、
You gonna meet your sweetie soon? Are you? Hm?
 あのことあうなら、そうだよね?
Well, then pick up your hat, close up that flat!
 さあ、ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる


Underneath that bright, silvery light,

 ぎんのつき、あかるく、すぐ、
You'll be feeling better soon,

 すてきなきぶん

Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてにドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる

 

Da-da-da-da-da-da, walk, walk, kiss and then walk again,
 ラ、ラ、あるいて、キス、
And talk, talk, kiss and then talk again,
 おはなしとキス、こい
Oh, boy, sweethearts are all in June!

 びとたちの、ろくがつ

 

I mean it, when it's raining out, stay in your flat,
 だから、あめのひの、 よる、へやのなか、
But on a lovely night in June,

 でも、みわくのろくがつ

 

Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる

 
[Scatting]

 

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さっそく、1行目ですが、...、その前に...。

 

この曲の曲名は「つきのひかりのてらすよる」としました。原題をそのまま訳すと、パソコンの自動翻訳で見ると、

 

⇒月の下で出て、到着しなさい

(Google翻訳)⇒月光価千金

 

「外に出て、月の下に」ということらしいのは分かります。「月光価千金」は、よく知られたこの曲の曲名です。それは、ほんとうに、その通りですね。「価千金」の英語はありませんが、曲の主題は、その通りです。そして、歌詞も、いくつかは、日本語で、よく歌われました。最後まで歌詞を見て行くと、月の光の下で、外に出てみたら、という歌なのです。なので、日本語的に、この歌の内容が分かる語句で、曲名としました。

 

そして、改めて、その英語の歌詞を見て見たくなりました。

 

というわけで、1行目ですが、...、

 

What do you do in the evening,

 ゆうぐれになんにも

 

(自動翻訳)⇒夜何してるの、

 

そうですね。


When you don't know what to do?

  することのないとき

 

(自動翻訳)⇒どうしたらいいかわからないとき

 

この訳も、そうですね。この2行、テストでは、まあまあの点を取るでしょう。

 

最初の2行が、1つの文ですから、「ゆうぐれになんにも、することのないとき」と訳したのです。

 

自動翻訳でも、「夜何してるの、何したらいいかわからないとき」、までは行きそうですね。その言おうとする意味も、よく分かります。それを、普通の日本語にすると、当方の訳文のようになったのです。その違いで、むしろ大きいのは、当方の訳文では、「...のとき」と、まだ文が完了していないのですが、原文では、疑問文ですが、「何してる」と、文が閉じている事でしょうか。それは、ただ、そういう違いはあるな、という事ですが。英語の原文が、文が終わっているのに、日本語の訳文で、文が完結していないのはどうして、という疑問があるかも知れませんが、それこそ、今後の、翻訳における研究課題と言ってよいと思います。

 

そして、そのお話は、続いているのです。

 

Read a book, play a game,

 ほんをよんだり、ゲームをする?

 

この英文、動詞で始める文なので、命令文となりますが、「本を読め、ゲームをしろ」と訳しても、どうも、そういう命令をしようという事ではなさそうです。それで、「..をする?」と疑問文になりました。そして、第1連目の次の行で、今の状況がまとめられます。

 

Every night it's just the same!

 でも、なにをしてもおなじ!

 

(自動翻訳)⇒毎晩それは同じです

 

本を読んだり、ゲームをしたりしても、同じ事で、結局、何をしていいか分からない、のです。それは、そのように、日本語でも言った方がいいですね。この歌の、思いが、それで、分かります。

 

そして、第2連です。それは、あきあきした気分らしくて、次の2行は、まとめて読み切ってから、この2行分の歌詞を作るしかないですね。

 

What do you say if I tell you

 ブルーなきもちで

 

(自動翻訳)⇒私があなたに言うならあなたは何と言いますか

 

How to keep from feeling blue,

  いたくないなら

 

 How to  ..する(ための)方法

 keep from  ..を避ける

 

(自動翻訳)⇒どのように、青色であると感じていることをやめるか

 

自動翻訳が、「blue」を「青」としか訳せないので安心します。まずは、「ブルーなきもち」と訳します。「憂鬱なきもち」なのでしょうが、「憂鬱な」というと、何か、困ったことがありそうです。「ブルーな」位の、軽い、沈んだ気分なのです。

 

「ブルーなきもち」を避ける、そんな気持ちでいない為の方法を尋ねたら、あなたは何と言いますか、という事です。そして、それに対する答えも、すぐ次の2行で、用意されているのです。

 

My advice is good to stay,

 すぐできる、やさしい

 

(自動翻訳)⇒私のアドバイスは、滞在するのに良い、


And it's easier to do.

  アドバイスがある

 

(自動翻訳)⇒そして、することがより容易である

 

「stay」の意味は、「そこにずっといる」ですから、そのアドバイスに従って、ずっといても大丈夫で、負担にならないし、それを実行するのも簡単なのです。

 

「私のアドバイスは、負担にならず、するのがやさしい」ですが、それを、音符の長さに合わせて、何と言うか、というだけです。「アドバイス」は「忠告」や「助言」ですが、「ちゅうこく」や「じょげん」と言ったら、それを、一遍、漢字に変換しないと行けなくて、漢字にすると、その意味を考えている内に、メロディーは、どんどん先に行ってしまっているのです。だから、その言葉で、すぐわかるのがよいのです。「アドバイス」です。

 

そして、第3連目に入ります。「アドバイス」が、語られます。

 

When you're all alone, any old night,

 いつものよる、ひとりで、

 

(自動翻訳)⇒あなたが一人でいるとき、どんな古い夜でも

 

「old night」が、意味を考えさせます。しかも、その前に、「any」があります。これは、「どの」、「いずれの」、「old night」も、ですね。だから、「いつものよる」としました。「old」の意味は、この場合どうなるの、と尋ねられても、それは、「いつものという事だよ」と答える事になります。

 

次の行、


And you're feeling mighty blue,

 ゆううつなだけ、でも、

 

(自動翻訳)⇒そして、あなたは強大な青を感じています

 

「blue」が「青」としか訳せない事は分かりました。「mighty」は、その後に続くものを強調したり、それが、ひどく大変なものである事を言っているんですね。それは、「..だけ」という語で、そのニュアンスに近づき、そして、「でも」、「but」、を挟みます。「but」とは言ってませんが、その方が、次の行に言う所に続けるのに、分かり易いです。

 

そして、次の行が、アドバイスの内容です。


Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、

 

「..ならば」という文、「if」などはありませんが、助詞の「ば」は、「..したところ」という意味もあるので、「ば」があるからといって、必ずしも、仮定形というわけでもなく、何かをして、それで、と読んだ頂くことは出来るようです。


Get out, get under the moon!

 そとは、つきのひかり

 

この曲の題名で、この文の初めに、その訳を見ましたが、

 

(自動翻訳)⇒月の下で出て、到着しなさい

 

要するに、「外に出て、月の光の下に出る」という事です。

 

ここの2行は、この歌のテーマであり、繰り返されもする箇所なので、改めて、この2行を、普通に訳してみると、次のようなことでしょうか。

 

⇒帽子を手に、家のドアを閉めて

⇒外に出て、月の下に出る

 

これで、歌えなくもなく、訳も間違っていないと思われますが、月の光の感じが欲しいし、それが歌いたい所でもあるのだろうと思うと、少し手を入れたくなります。というわけで、

 

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、

 そとは、つきのひかり

 

こうなりました。

 

第4連目を見ます。

 

Underneath the bright, silvery light,

 ぎんのつき、あかるく、

 

パソコンの自動翻訳で見ると、

 

(自動翻訳)⇒明るい銀色の光の下

 

「..の下」が、なくてもと思わせます。もう、外に出て、月の光の下にいるのですから。原文は、「銀色の光」ですが、ここは、歌の感覚としては、「月」を意識したいですね。「月」という語、「moon」は、この行にはないから、訳に「月」と入れるのは翻訳でないという議論もあるかと思います。でも、この行の歌の気持ちは、「ぎんのつき、あかるく」と言いたい気持ちなのです。

 

そして、次の行、主語も述語もある文ですが、訳は、名詞止めになりました。また、「あなたは」は、日本語では、文ではないという事もあり、言わなくてもよいですね。


You'll be feeling better soon,

 

  すぐに、すてきなきぶん

 

(自動翻訳)⇒あなたはすぐよりよいと感じているであろう

 

そして、前の連にあった、この歌のテーマが、また、顔を出します。


Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきのひかり


そして、第5連目です。

 

La-de-da-da-da-da, look! Look! Look at those stars above!
 ラ、ラ、みて、そらの、

 

「ラララ」は、英語と同じですね。というか、よく見ると、英語のこの詩では、「ラダダ」ですが。また、「Look」も繰り返しますが、訳では、「みて」は1回です。繰り返しの語を、回数を揃えて、訳語を繰り返すべきかは、悩ましい所ではあります。

 

また、この1行に、「そらのほし」まで歌われていますが、訳では、この行は、「そら」まで、「ほし」は、次の行に回して、さらに、次の行の、「look, look, look」、「見て、見て、見て」は、音符の都合もあり、削られました。「見て」は、もうこの行の訳に出ているので、完全に無視したというわけではありません。そして、ここまでに、まだ出て来ていなかった言葉、「sweeties love」、「あまいあい」は、きちんと拾います。


Ah, look, look, look at those sweeties love,

 ほし、あまいあいの、

 

そして、次の行、6月の夜、です。「6月」は、「ジューンブライド」を、もう思い起こしています。

そして、「Oh, boy, give me」、「あ、何とも、下さい」みたいな語の並びは、言葉の勢いなので、言葉として、訳出しなくても、その気持ちを、歌ってくれればよいのです。

 

原文にはない、「ゆめ」を追加しました。なぜかというと、「give me a night」、「夜を下さい」、ここに、「ゆめ」の感じが、手触りがあります。「どうして?」と言われても、説明に困りますが。

 

Oh, boy, give me a night in June!

 ゆめ、ろくがつのよる

 

そして、第6連です。

 

I mean it, when you're all alone, any old night,
 だから、いつものよる、ひとりで、

 

(自動翻訳)I mean it ⇒私は真剣です(いわゆる、「まじで」、ですね。)

 all alone  どうもこうもなく一人で

 any old night いつものよる(前記あり!)

 

「I mean it 」は、「だから」としました。ここまでに、いろいろ言ったように、という事です。

 

And you're feeling out of tune,

 ちょうしのでないとき

 

 out of tune  調子はずれ

 

(自動翻訳)⇒あなたは調子が悪いと感じています

 

つまり、思う様に行かなくて、気がくさくさするとき、みたいなことでしょう。ここで、「あなたがちょうしがわるくかんじるとき」などと、文として、説明する必要はありません。歌ですから。

 

そして、この歌のテーマになります。

 

Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきのひかり

 

第7連に入ります。部屋から、外に出る事までは出来たとして、その次です。いろいろ、楽しい事を考えましょう、という事です。

 

When you make a date, any old night,

 いつものよる、デートで、

 

 any old night it  いつものよる(もう、前に、何回もこの句は出ました。)

 

You gonna meet your sweetie soon? Are you? Hm?
 あのことあうなら、そうだよね?

 

データの相手、彼女と会う事になっているんだよね、という、そう言っているのは、この歌の、アドバイスをくれた誰かさんですね。

 

アドバイスの言葉が繰り返されます。

 

Well, then pick up your hat, close up that flat!
 さあ、ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる

 

同じ語句を、既に、「そとには、つきのひかり」と訳しました。でも、ここでは、

 

  そとには、つきがでてる

 

です。もともと、この英文の訳は、そういう意味です、という事です。日本語の、1語1語に対応する訳という考え方ではありません。もう、何べんも、「そとには、つきのひかり」と言いました。まだ同じことを、同じアドバイスを言わなければならないとしたら、少し、言い方を変えてもいいですね。

 

第8連に入ります。

 

最初の2行は、前に同じ行がありました。だから、日本語の訳も同じ語句でと思うかも知れませんが、同じ事を、それに、ほんの少しの差異はあっても、訳している事は、何も変わりません。


Underneath that bright, silvery light,

 ぎんのつき、あかるく、すぐ、
You'll be feeling better soon,

 すてきなきぶん

 

この後の2行も、同じアドバイスの繰り返しです。

 

Pick up your hat, close up your flat,

 

 ぼうしをてにドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる

 

長い歌で、何もなければ、もういいですね。飽きて来ます。でも、次の第9連で、急展開があります。こんないい事もあるよねと、元気づけ、励ますのです。

 

Da-da-da-da-da-da, walk, walk, kiss and then walk again,
 ラ、ラ、あるいて、キス、

 

オノマトペで、「ダ、ダ、..」とか言いますが、日本語では、「ラ、ラ、..」です。歩いて、キスして、そして、歩いて、の楽しい道のりです。訳も、その原文の勢いのままです。「歩いて」を2回言って、「キス」を言って、それから、また、「歩いて」と、原文の語数、語順を踏む必要はないでしょう。

 

And talk, talk, kiss and then talk again,
 おはなしとキス、こい
Oh, boy, sweethearts are all in June!

 びとたちの、ろくがつ

 

「お話」と「キス」も、その語数を数える必要はありません。音符の関係で、「こいびとたち」の語が、2行にまたがりました。そして、「びとたちの、ろくがつ」と、名詞句です。

 

(自動翻訳)⇒恋人はすべて6月です

 

これは、このままでは、何の事か分かりませんね。「6月」の特別の意味も、英語と日本語では違います。日本語で言えば、

 

 こいびとたちの、ろくがつ
 

なのです。

 

最後の第10連です。

 

I mean it, when it's raining out, stay in your flat,
 だから、あめのひの、 よる、へやのなか、

 

 I mean it  (前にありました)だから

 

雨降りで、部屋の中にいたとしても、

 

6月の、すてきな夜です。「lovely」は、自分の語彙の中から、なんでも、好きな言葉を使いましょう。ここでは、「みわく」、になりました。「みわく」は漢字ですが、漢字の意味を考えるのには、難し過ぎる漢字なので、ただ、「みわく」という音で、漢字の意味を考えずに、ある心の状態が把握されます。

 

But on a lovely night in June,

 でも、みわくのろくがつ

 

そして、最後も。アドバイスを、するのです。勧めます。

 

Pick up your hat, close up your flat,

 ぼうしをてに、ドアをしめれば、
Get out, get under the moon!

 そとには、つきがでてる

 

 

-完-

 

(余白残興)

 2021.12.21記:

 

1928年、米国の経済大混乱の前年です。まだ、幸せですね。幸せな時に、幸せにしていなければ、幸せでいるチャンスを失いますよ、という教訓でしょうか。

 

YouTubeを拾っておきます。