味噌汁を作る。

具は、豆腐と葱。

出汁を取り、具を入れる。一煮立ちしたあと、味噌を溶き入れる。

この行程が好きだ。

味噌は決してダマにしてはいけない。

溶かしきる。

おたまに取った味噌を少しずつ、そして徹底して溶く。

その行為を少しずつ、確実に成し遂げる。


その過程が、重要。


味噌を溶かす時間は、走馬灯のようなものかも知れない。

自分の過去や、思い悩む様々を思い出す瞬間。

無防備になるのだ。

心や、記憶が。


お玉の中で溶けていく味噌を眺めながら、涙したことがある人は、意外といるのではないだろうか。