ん~
つかれたなぁ
ところで
今日は昔の話をしようと思いまして

ここでは 簡単に「先生」っていうふうにしておくけれども、
以前 先生とGIDの話をしたときのことを思い出したんです
「人の心の中には
男も女も入っていて
その割合が人それぞれ違うだけ。
同じ人でも 日によって
その割合は異なってくる。
だから
100%女とか、100%男とか、
そんなキレイな分け方
できないのよ。」
誰しも 両性を持ち合わせている
割合の決まり方なんて自然現象
それを聞いて
ふいに涙が出てしまった
僕の中にも
女の割合は少なくともある。
男の割合が たまたま勝っているだけ。
GIDじゃない男の人にだって
同じように男の割合も女の割合も、両方ある。
そのことを 先生に教えてもらって
不思議と
肩の荷が下りた気がした。
自分は
別に特別なんかじゃない。
GIDは
特別なものなんかじゃない。
「普通に」
誰にでも
起こり得たこと
そんな風に感じれたんだ
書類を書くとき
性別の欄を埋めるのに
5分以上かかる
スカートもってないの?
こういう類いの質問に
どうやって話題を反らすか考えた
「初めて見たとき 男の子かと思った」
毎回言われる
できることなら
初めのままの時点が良かった
話さなければ、
仲良くならなければ、
その時点で、
僕はちゃんと男の子として見られてる
女の子として扱って『あげなきゃ』
いかにも 女の子 って感じの子にやられる「一応女子」という具合に蔑んだ目線
思い返せば
『女の子』として自分を扱ってくる人たちがきらいだった
それを否定できない自分がきらいだった
認めざるを得ない身体がきらいだった
男の子っぽい格好の自分をネタにする人たちがきらいだった
惨めな気持ちに
僕は今日まで何度襲われたんだろう
「本当は、 全部、 ちがう」
どこにいても、何をしてても、
それは ちがった
そこにいるのは
本当の自分じゃなかった
なりたい自分じゃなかった
演技?
女の子の『フリ』?
限界はすぐに来た
演じるのは疲れるから
演じきって人生を終えれるほど
演技力はないから
誰のために演じてる?
偏見を持たれないように
演じて逃げて 惨めになって
その繰り返しだった
葛藤の連続、訳のわからない日々
そういう子ども時代だったから
全部 やり直したかった
生まれ変わりたかった
「普通に」生きてみたかった
当たり前に用意されているはずのものが 生まれてきたら何一つ用意されていなかった
そのことについて
何も悩まなくていい人たちが羨ましかった
周りが羨ましかった
自分にとっての当たり前と
用意されているものが
一致している人たちが自分より何倍もキラキラして見えた
神さまは いじわるだと思った
「女の子らしくしなさい」と言われたこともあったよ
「男おんな」と からかわれたこともあったよ
あの頃は
そんな偏見に たち打つ術も分からなかった
生きている価値さえ分からなくなるくらい やり場がなかった
着たい服を着るだけで
履きたい靴を履くだけで
冷やかされて
変なやつ扱いされて
蔑まれる
人と関わるのが苦手になった
自分を理解することから始めるしかなかった
そうして 成長していって
自分を受け入れることはできた
だけど
受け入れた その後に
これからどうやって生きていけばいいか分かんなかった
視野の狭い小学生には
偏見で追いやられる学校生活が全てだった
漠然と、死にたいと思う自分を怖いと思った
自分が本当に怖かった
生きていく方法を調べて
現実を知って
悩んで
泣いて、絶望して
自分を勇気づけて
立ち上がって
また泣いて
中学に入って
親友ができた
でも気づいたら
親友にも裏切られてて
ひとりぼっちになってて
毎日が、学校が、
ぜんぶ 怖くて
それでも立ち上がって
高校いって
中学と同じことの繰り返しになって
それでも好きな人ができて
彼女と呼べるような仲になって
全てを尽くせる気がしたけど
卒業後
大学受験の真っ只中に
「あなたといても幸せになれない」
とか
思い出そうとすると吐きそうになるくらい
悲惨なことを言われて
心が壊れてしまって
ノイローゼに近い状態になって
誰かに助けを求めるんだけど
それは なかなか届かなくって
だんだん家から動けなくなって
最終的に 死のう と思って
兄ちゃんの分まで生きれなくて
ごめんなさい って
GIDとか 変な風に生まれてきて
ごめんなさい って
母さんに 償うために
遺書かいて
最後に
彼女との思い出がいっぱいの
せめて幸せだった頃の思い出がある
高校の校舎を
目に焼き付けておこうって思って
高校まで行ったら
先生のいる部屋の扉が
いつも閉まってるはずの扉が
少し開いてて
中から光が漏れてて
まぶしくて
引き寄せられるように
中に入ったら
真冬なのに あったかくて
なんか泣けてきて
そこでは 何故か泣けて
ちゃんと 人前で泣けれて
先生が 助けてくれた
先生には 届いてた
助けてって叫びは
届いてたんだよ
継ぎはぎ状態でも
扉を開けたその瞬間
僕の命は また伸びた
本当に死のうと思ってしまいました
と言った僕に解き放たれた、その声で
我に帰ったんだと思う
「生きててくれて 本当によかった」
きっと あの日僕は
生まれ変わることができたんだ