4月2日 【サクラ】 | =BitterSweetChocolate=ノブログ

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2010年から、ALS(筋萎縮性側索硬化症)になった父の事を中心に、時にゆるゆる~、時に熱く!思いのまま書いてます。


【サクラ高】

うちの学校は地元でこう呼ばれている。

校門の真正面に大きな桜の木があるからだ。

その木は、もう何年も前の卒業記念に植えられたらしい。
木の横に、それを記したものがあるけれど、古びてしまって字がほとんど読めなくなっている。


そんな古い桜の木だけど、今年もしっかり花を咲かせている。





ある日、そんな桜の木を見上げている子がいた。
制服がうちの学校のものと違う。転校生だろうか?


その子は、微笑みをうかべながら、桜を見つめていたかと思うと、手を枝に向かって真っすぐ伸ばした。

しかし、手がほんの少し届かないようで、つま先立ちをしながら、めいっぱい手を伸ばしている。



「何してるの?」



思わず近づき、声をかけた。

愛校心とまではいかないけれど、伝統のある桜の木の枝が折られそうだと思ったからだ。



「え?」




声をかけて初めて他人の存在に気付いたようで、その子は驚いた顔でこちらを見た。



「あの……この木は古いけど大事な木だから」



声をかけた自分自身も、とっさだったので、思いついた言葉をそのまま口に出していた。

もっときちんと言わないと何の事だか分からないと気付いたのは、言った後だった。



「そっか、大事な木なんだ」



「あ……うん、昔からあるし、うちの学校のシンボルっていうか、有名な木だし」



「あ!【サクラ高】って、もしかして、この木の事?」



「うん、そうらしい」



「へー、そうなんだ」



その子は納得して頷くと、また桜の木を見上げて微笑んだ。

そして、目を細めてつぶやいた。



「はじめまして。これからよろしくお願いします」



握手を求めるように、桜の枝に手を伸ばすと、花びらが一枚、ひらひらと舞い落ちた。



「こちらこそ、よろしく」



まだ名前も何も知らないけれど、この子とは仲良くなれそうな気がした。