こんばんは。
先日、乳幼児健診をしていたとき、
来られたお母さんたちと色々なお話をしてきました。
やはり我が子が一番というのは
どのお母さんにも共通していえるところで、
こちらの話を聞きながらも赤ちゃん言葉で子供をあやす…
…ってあれ?僕の話聞いてます??
………
さてさて。
最近はインターネットの普及もあり、
患者さんの知識は以前よりも格段に増えてきています。
中には専門用語を使いながら話をされる方もいらっしゃって、
こっちがびっくりするような質問をしてくれる場合もあります。
これは2つの意味でいいことだと思います。
1つめは、
知識が増えることで、
患者さんの意識が高まってくれる(はず)ということ。
虫歯予防とか歯並びの知識などが普及することで、
きれいなお口に育ちやすくなる。
これは歯科医師としては非常にうれしいしありがたい。
2つめは、
専門家と一般の方々との距離感が近くなるということ。
そうなることで歯科治療を通じて貢献できることが増えてくるはずですから。
実際に患者さんと話していると、
勉強されてるなーって感心することもありますし、
意識の高いお母さんたちが増えてきているのも見てわかります。
しかし、です。しかし。
ここに落とし穴があります。
患者さんが
いろんな情報を手に入れられるようになったということは、
それだけ患者さんが求める要求も高くなってくる、
ということにつながります。
これは当然といえば当然です。
最近で言えば、
LEDを使ったホワイトニングだとか、
iPS細胞を使えば歯は再生できるんじゃないかとか、
なかなかつっこんだ質問というか、深いというか、
なんかすごい質問きたなぁってなるようなものもありましたね。
実際は実験段階のものもあれば希望的観測のものもある。
応用できるとしても僕が生きているうちにできるかどうかというものも。
でもテレビで放送されると、できるものだと思い込んでしまう。
結果として患者さんは、できるんだろう?というスタンスでやってこれらるんです。
「テレビでやってた、あれやってよ」みたいな感じで。
えー……
そして、これがいきすぎるとどうなるか??
場合によってはクレームにつながってしまうのです。
ネットの普及によって知識が増えてはきてるけど、
専門的な知識や現場での状況は放送されない。
ということは、「いまの歯医者ではこういった治療を受けられるはずだ」
という思い込みができあがってしまいますよね。
とくに歯科治療に関する情報は、
なるべく削らない、痛くない、きれいに、なくなっても大丈夫、
という類のものが多いですから、
いつどんな状態でいっても大丈夫だという思い込みがある。
言い換えると、
患者さんの歯科治療に対する期待値が非常に高くなっているということです。
それはそれでありがたい。
しかし、
その期待値が裏切られる、期待値に届かない反応が返ってくると、
それは結果としてクレームになってしまうんです。
テレビではできると言ってました、なんでできないんですか??と。
えー、そんなぁ…
もちろん期待値が高い分、
なんとかして応えたいと思うのですが、
現実問題としてできないものはできない、
無理なものは無理なケースが多々あります。
どんな患者も受け入れなければいけない、
というのは法律で決められていますから
基本的に断ることはないのですが、
できることとできないことははっきりしているわけです。
もっというと、したくないこともはっきりしています。
歯科医師はできるかもしれない、というスタンスで治療はしません。
確実にできる、できるだろうというある程度の確信がないと手を出さないのです。
診断はどこまでいっても仮説どまりですから、
なるべく精度の高い仮説にしないといけない。
それをあーでもないこーでもない、
となってしまってはそれはもはや実験。治療ではありません。
そんな危なっかしい橋は渡れません。
そんなことをしていたら訴訟問題になってしまいますからね。。。
ここでポイントとなるのは、
知識が増え、期待値が高まった患者さんに対してどう接するか、
ということです。
なるべく期待値を超える治療を提供してあげたい、
しかしできないことはできない。
これをどう対処するか。
それはもう簡単で、始めから、
「こういう患者さんを受けています」と宣言してしまうことです。
歯科医院の看板、広告、サイトなどにありますよね?
こういう最先端の治療技術を導入しています、
子供の歯並びなら相談ください、
健やかな成長のための治療を提供しています、
最先端の技術は導入していませんが、
患者さんの気持ちに寄り添った治療を心がけています、
などなど。
そうすることで、
ある程度自分の歯科医院に沿った患者さんが集まってきてくれるはずです。
とくにこれだけ歯科医院がたくさんあると
そもそも、どこに行っていいかもわかりにくい。
ならば、来て欲しい患者さんに向けて
メッセージを投げかけるようにすればいいのです。
しかし、これがほとんどの医院でできていない。
とくに開業したての医院や、経営が思わしくない医院では、
患者さんをしぼることにどうしても抵抗を感じてしまい、
なるべく多くの人に来てもらえるような立ち位置をとってしまう。
結果として、誰にも反応されないようなカラーのない医院になってしまうのです。
……
コミュニケーションの上手な人は、
誰とでも仲良くしようとするのではなく、
自分に合う人を見つけ出す能力の高い人だと思います。
10人の中から自分に合う1人を選ぶことのできる能力が高い。
反対にコミュニケーションが下手な人ほど、
周りの人全員と仲良くしようとしてしまいます。
場合によっては、誰とでも仲良くなれる方法、
なんてものを探したりする。
これを歯科医院と患者さんに置き換えると、
自分の医院に適した患者さんが集まってくれるような
メッセージを打ち出せる医院。
それがコミュニケーションの上手な医院です。
歯科医師に限らず、
専門家が技術だけ磨いていればいい時代は終わりました。
これからは、
自分の医院にあった患者さんが集まるようなメッセージを出せる力、
そういう力が必要とされてきます。
自分の医院に合わない患者さんが来院してしまったら、
患者さん側も医院側も不幸になってしまう。
まさに性格の合わないものどうしが付き合ってしまうのと同じですからね。