〈前半A〉

今回の物語の主役の一人目は、元郵便局員のヴィンツェンツォ。
子供三人は自立し、妻ダニエーラと二人暮らしをしている。
家のダイニングは、テラス越しに美しい谷のパノラマが一望できる。
谷を見ながら、自分にとってモンテフランコは女性のようで、村に恋してると語ってくれた。

朝食の後、村のサッカー場に向かい、クラブチームの副会長として、二十三人分のユニフォームの洗濯をする。妻のダニエーラも一緒に手伝ってくれているが、洗濯物よりもヴィンツェンツォの几帳面な性格に付き合う方が大変そうだ。
このサッカー場の芝もヴィンツェンツォが刈りそろえた。つまり、チームの世話係といったところだ。

モンテフランコは昔からサッカーが盛んであり、現在も若者のサッカープレイヤーが大勢いる大変活気のある村だ。

元クラブチームのキャプテンだったヴィンツェンツォは、こうして球拾いのためにグラウンドにいるだけで楽しいという。たしかにグラウンドを楽しげに走り回る姿には、歳を感じさせなかった。

練習後、若い選手たちがロッカールームで盛り上がっているおしゃべりを聞きながら、一人また洗濯機を回すヴィンツェンツォ。それもまた、楽しいのだ。



〈前半B〉


そして、今回の物語の主役の二人目は、元エンジニアのマリオだ。実はもともとマリオは画家になりたかったが、その話はまた後ほど。
スペイン人の妻のテレーザと、日中働きに出ている次男と三人で暮らしている。長男は自立して隣町に暮らしている。

マリオの家には所狭しと美しい絵画が並んでいるが、全てマリオが描いたのものだ。
マリオが幼い頃の心に焼き付いている記憶の中の故郷の風景を描き、家中の壁にその絵を飾っているのだ。
番組では「人生の美術館」と評していた。

朝食と日課の絵描きが終わった後、先祖から受け継いだくだもの畑の手入れをしに行く。向かうと、マリオが創作中の絵とそっくり同じノスタルジックな景色が待っていた。このくだもの畑こそが、マリオにとって故郷であり忘れ難い土地なのだ。

隣人に協力してもらいながら、リンゴの木の選定をするマリオ。そして物語はマリオの過去へと遡る。

幼い頃から周囲に絵の才能を評価されていたマリオだが、工場労働者の父からエンジニアになることを勧められ、その道を選んだ。
工場仕事のあとに畑の手入れをしていた父のように、エンジニアの仕事のあとに絵を描くことを選んだのだ。
マリオは「芸術の喜びは職業にしなくても得られる」と話す。

私の意見だが、夢を追いかける人生を選んでも、最期までその結果を出せずに、現実を見ることができない人も少なくないと思う。逆に、堅実な人生を選んで、もしも夢を追いかけていたら、と後悔する人もいると思う。どちらの人生を選んでも後悔しかないのが人間だと思っていたが、さすがイタリア人といおうか。この「人生」や「生きる」ことに対しての達観した価値観や満足感。まさしくこの番組の意図するところだろう。



〈後半A〉


ヴィンツェンツォが、親戚とのホームパーティのために買った離れで、食事の支度をしている。この地方に伝わるソーセージが載っている、炭焼きピッツアだ。昔は生地の上に炭を載せたピッツァだったから、その名が付いている。生地を焼いてから、具を載せるのが特徴だ。

ヴィンツェンツォが着ているのは、炭焼きピッツァ祭りのTシャツだ。
10年前に、ヴィンツェンツォがサッカークラブの資金集めのために始めたが、今では一週間で7千人が訪れるほどの村の一大祭りとなった。

ヴィンツェンツォがつくるピッツァの方は…午後2時現在、生地の第一次発酵が終わったところだ。


しばらくして、ピッツァが完成し、親戚一同と友人家族を招いたホームパーティが始まった。

今は働き者のヴィンツェンツォだが、昔は村一番のいたずらっ子でゾロ(怪傑ゾロ)と呼ばれていたと楽しそうに話す。
とある女性は、ヴィンツェンツォが大人になってもいたずらっ子で、朝早く夫と寝てるベットで夫に抱きついていたとバラした。

いたずらっ子だった過去はあるものの、村が好きでやっているということがみんな分かっている。「これが、村だ。」


ところ変わって、ヴィンツェンツォから妻との馴れ初め話を聞く。
二人は幼馴染だったが、ヴィンツェンツォは妻を手に入れるために、こっそり妻の友だちの男の子を遠ざて自分をアピールした。
めでたく妻の両親に会いに行くことになったが、妻の母が張り切って作った、挽肉を詰めた鳩の丸焼きの郷土料理を食べることになった。
違う村の出身なら嫌がらせだと思いそうだ(笑)
ちなみに番組では、ヴィンツェンツォの恋の猛アタックを姑息な作戦とまとめていた(笑)



〈後半B〉

マリオと妻の馴れ初め話が始まる。
旅行で行ったスペインのマドリードで、スペイン人の妻テレーザと出会う。マリオはその時、激しい雷が直撃したようだったと思い出す。
テレーザからなんとか住所を聞き出して、二人は週に一度は手紙をやり取りした。三年後に結婚し、一人で村に来てホームシックでふさぎ込むようになった妻を見て、マリオは絵を描いた。リビングに飾ってある夕焼けの海の風景、妻の故郷の絵である。
終わりに、マリオは私の'tutto' 全てだと話してくれたテレーザ。
今ではこの家がテレーザの故郷である。


〈ラストC〉

最後に今回の主役の二人から、話を聞く。
マリオは人生について「我々は毎日死に近づいている。だからこそ我々は平凡な生活を力一杯生きている。」と話してくれた。
一方、ヴィンツェンツォは、今日もサッカークラブの手伝いだ。村について、「妻に外出に誘われても、村のことがいつも頭から離れられないんだよね」と話してくれた。



〈最後のナレーション〉

『誰にでも故郷はある。そこは優しくて温かい思い出に満ちている。誰もが故郷を去ることは辛いことだ。そんな時は大切なだれかがそばにいてほしい。そのだれかはきっと、新しい故郷になってくれるはずだ。』





オリーブ畑や温暖な気候で美しい村でした。

炭焼きピッツァ祭りの時期に、是非訪れて見たいです。