bs2chのブログ

bs2chのブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!

「ああ…、それじゃあ唯華。できれば俺がスキル所持者ということを黙っててほしいんだけど…」



無理だとわかっていてお願いしてみる。そして答えは想像通り、



「それはできないな」



やっぱり…。



「だってわたしは拓人君を連れて行こうとしてるんだもん。私たちのクラスに」


ここで一つ疑問が浮かんだ。



「何で俺をわざわざクラスⅠにいれようとしてるんだ?俺なんかいてもいなくても変わらないだろ」



すると唯華は恥ずかしそうに言う。



「えっと…。実は、もうしばらくするとこの辺り一帯の自治権をかけて、宝玉争奪戦があるの。ほらここって、半径五キロ以内にちょうど東西南北で学校があるじゃない。この四校で勝ち残った高校がこの辺りの自治を担当できるの」



なんだそれは…。ふざけてんだろ…。



「それでね、クラス内で五人一組で出場しなきゃいけないんだけど…。わたし達のチーム一人足りないんだよね…。っで、もう一人必要ってわけ」



………本当にふざけてる。



誰がそんなもののために平和な日常を捨てるかよ。



「他をあたるんだな」



そのままここから去ろうとする。



「待って!もし朱南高校以外の高校が勝ったら、『今』 と生活するうえで色々変わっちゃうんだよ!」



多少変わろうが、特に問題はない。でも、まあ聞いておくか。



「例えば何が変わるんだ?」



聞かれた唯華は慌てて思い出そうとしている。



「えーと、夏祭りの日程とか、この辺りの開発とか、あっ、あと授業料無料とか!」



なんだって?授業料無料だと?



「どういうことだ…?」



「夏祭りは学校ごとにいろいろ意見があるから…」



「違う。授業料の事だ」



一応、うちの家計では重要なことなので、ちょっと神妙な感じで聞いてみた。



「授業料無料って、去年朱南高校が自治権を獲得して決めたことなの。だから、今年はどうなるかわからないっていうこと」



言いながら、唯華は授業料が俺の弱点だと気づいてしまったみたいだ。



ただ授業料はまずい気がする。まずこの高校に来た意味が無くなる。

母さんのことだから、



「授業料無料じゃなくなるのー?じゃあ学校やめなさい。バイトでもしとれー」



とか言われそうだ…。さすがに高校中退じゃこれから先、将来が大変だ。



「なんで四人しか集まらなかったんだよ…。お前らのチーム弱いのか…?」



泣きそうになりながら聞く。



「いや、その逆だよ。わたし達のチーム学年でもトップぐらいの強さだよ」



「じゃあなんで…」



唯華は少し言いたくなさそうに、



「みんな怪我したくないんだって。仲間のスキルに巻き添え食らいたくないって…」



……そんな所に入れって言うのか…?



「やっぱり俺には無理が…」



「授業料は?」



言い終わる前に唯華に釘を刺される。



─うっ…!やっぱそれだよな…。学年トップを争うなら、戦力的にもだいぶ関係するだろうし…。



あーーーもうわからん…。誰か助けて…。



「すまん…。少し時間をくれ…」



「いいけど、二日後までね」



俺は疲れ切って、うちに帰る。その後ろで、



「拓人くーん。ちなみに、うちのリーダーがわたし達のチームに入らなかったら、朱南が勝っても拓人君のためになることはしないってー!」



何だよそれ…。もう選択肢はないんじゃないか…。


ちくしょう。何でこんなことになってるんだよ…。



絶望しながら、とりあえず足を進める俺こと藤島拓人だった。