日本の過重労働問題は長い歴史を持っている。その深刻さから、過労死を意味する日本語の言葉「カロシ(過労死)」がオックスフォード英語辞典に収録され、英語読みの「karoshi」で解説されるまでに至った。最近では、中央省庁の職員に関する統計データもこの問題を裏付けている。こうしたケースはごく一部に過ぎないものの、従業員が月に 300 時間を超える残業を行うといった異常な事例も存在し、「本当に可能なのか」と疑問を抱かせるほどである。
日本には「過労死ライン」と呼ばれる概念がある。これは病気や自殺を引き起こす可能性のある労働時間を指す。同時に、この時間を超えた場合、過重労働が当該疾病の原因であると法的に認定される可能性が高まる境界線でもある。一般的に、発症前 1 か月に 100 時間を超える残業、または発症前 2~6 か月の平均残業時間が月約 80 時間を超える場合、業務と疾病の間に因果関係がある可能性が高いとされている。
日本で「残業」とは通常、所定労働時間を超えた追加勤務のことを指し、東京霞が関に集まる中央省庁の職員は残業時間が特に多い職種の一つとみなされている。朝日新聞の報道によると、日本政府は昨年 12 月から今年 2 月までの 3 か月間、中央省庁職員の残業実態調査を実施した。調査結果は「残業が常態化している」と一言でまとめられる。
調査対象は過労死ライン(月 80 時間超残業)を超えた職員で、厚生労働省が 1092 人年と最も多かった。このデータは人年単位で集計されているため、1 月と 2 月の両月で残業時間が 80 時間を超えた職員は 2 人分とカウントされる。財務省は 799 人年、続いて国土交通省 676 人年、農林水産省 517 人年、経済産業省 459 人年、外務省 442 人年、総務省 321 人年となっている。
1 か月を 30 日とすると、月 80 時間の残業は 1 日平均約 2.7 時間に相当する。単純計算すると、定時が午後 5 時または 6 時に終わったとしても、実際には夜の 8 時か 9 時まで残業することになる。もちろん土日の長時間勤務も残業に算入されるため、平日の実質残業時間はこれより少なくなる可能性もある。
過重労働は公務員だけの問題ではない。日本政府は過重労働問題を重大な課題と捉え、『過労死等防止対策白書』を発表している。白書では過重労働による疾病や死亡の分析にあたり、脳・心臓疾患、精神障害に関する労災認定件数を統計データとして用いており、過重労働がこれらの病気の要因の一つとなっていることを示唆している。
2019 年、民間企業の従業員における脳・心臓疾患の労災認定件数は 216 件、うち死亡事例が 86 件だった。また同年の精神障害による労災認定件数は 509 件で、前年より 44 件増加した。特に注目すべきは、この 509 件のうち 88 件が自殺に関連する事例であることだ。