数ヶ月前から毎日のように我が家に
通ってきていたオス猫がいた。
蒼風のニャルソックに引っかかり
大騒ぎをする我が家の毛玉たちを
気にもとめず毎日毎日通っては
我が家の勝手口でメシを食い
庭の畑にウンという置き土産をして
一応私の声かけに愛嬌を振り撒き
ついでにマーキングの尿も振り撒き
帰っていくのを日課にしていた
顔も態度もデカいオス猫。
お世辞にも可愛いとは
言えないツラ構えのヤツに
いつの日か名前を考えるほど
情がうつり始めていた。
そんなある日の夜中に
激しく争う2匹の猫の声が。
しかもけっこう長い時間だった。
翌朝の出勤する車中から
こちらを見つめるヤツを見かけた。
顔面の左半分をしこたま噛まれ
左目が開かなくなるほどに腫れあがり
顔がいつもの2倍大きく見えた。
その日の夕方
仕事から帰宅して勝手口に気配を感じ
窓から見るとヤツよりも小柄だが
俊敏そうな若いオス猫が
こちらを見上げながら
ヤツの残した残り香に
マーキングをかけていった。
ああ…世代交代ってやつだ…
思っていた通り
その日からもう5日目。
我が家の庭を横切り
勝手口前を抜けていくのは
新ボスらしい若い猫。
代わりにヤツの姿はどこにも
見かけられなくなった。
いつかは世代交代は訪れるんだ。
と最近老いを顕著に感じる自分と
ヤツがミョーに重なって悲しい。
でもヤツは闘ったんだよ。
あの朝
こちらを見るヤツの顔は腫れ上がり
元々先が切れていた左耳は
上半分以上が無くなって
不細工な顔がもっと酷くなっていたけど
下半身にケガは無かった。
しっかりした足取りで歩いていた。
尻尾を丸めて逃げるような
みっともない戦い方は
しなかったんだと思う。
家ネコさんに比べて
外ネコさんの世界は厳しい。
今、どこでどうしているのか?
左目は大丈夫なのか?
見えているのか?
ヤツは元気にやってるのだろうか?
帰ってきて欲しい。
山ほどのご飯をご馳走するよ。
帰っておいで。
キンタロウ。
グスン(涙)
長文お付き合い
ありがとうございました。
グスン(涙)