Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol. 61
Distillati&Liquori di Gualtiero Marchesi
Manifatture Sigaro Toscano-Toscano Orginale その2
Sigaro Toscanoの続きです。
収穫した煙草葉に水をかけ、煙草葉の発酵を促し、煙草葉の旨味を引き出しつつ、非常に固いドライシガーを造るToscano特有の製法は、1815年の豪雨に端を欲しています。
この年、収穫した煙草葉を外で乾燥中、豪雨により煙草葉が水浸しとなったので、当時の煙草メーカーは、その雨に濡れた煙草葉を使用した煙草を民に安く売ったのです。しかし、その雨と乾燥によって自然発生した煙草葉の発酵熟成の効果により、従来の煙草よりも深い味わいが楽しめる事に気付き、以来、その製法が一般的になったのでした。1818年にはその煙草会社が現在の会社の前身となり創設されます(創設の下命は時のトスカーナ大公・Ferdinando IIIから)。
Toscanoの主原料・ケンタッキー葉はそのオリジンの煙草葉とされるBurley葉の誕生(1864)以降、米国のケンタッキーを中心に育てられ、1900年代初頭には移民の手によりイタリアに伝えられます。Espressoに代表される様に深く濃い味わいを好んだイタリアの人々は、あっさりとした味わいのBurley葉よりハードローストされたケンタッキー葉の方が好みだった様で、以降、世界的にも珍しい火力乾燥された葉をシガー原料としたToscanoがイタリアで生産される事になります。
それ以降、ケンタッキー葉はイタリアでも生産が開始され、現在のイタリアにおける煙草葉の名産地は、北はヴェローナ近郊、南はカンパーニャのサレルノ近郊です。古くから各地方に有名な生産工場があり、高度な技術を会得した女性シガー工員(Sigaraie)の手により成型されていました。その成型技術は現在でも18ヵ月の修行を有するとされています。
成型方法は200年前と変わっておりません。上級品のハンドメイド品を作る工程、シガー工員(Sigaraie)の華麗な手さばきを下記動画でご覧ください。
以降は工程に関する注釈です。
第一工程
右手にはセルロース糊の容器。テーブル上の木製まな板にラッパーを拡げ、糊を全面に浸透させる。
第二工程
ラッパーをカッターで成型。葉脈の方向はレングスと並行に。その為、完成後に巻き込みが広がらない。
第三工程
膝上に置いたフィラーを適量包み込む。ラッパーからはみ出ない様、更にフィラーの向きが揃う様に整える。
第四工程
ラッパーの先端を巻き込み折る。きつくし過ぎないように巻き込む。ギロチンカッターで成形する。
先端が細くなり中央部分が膨らんだ形を保ちつつ、吸引に適した固さのシガーの出来上がり。
Sigaro Toscanoの代名詞となっているGaribaldi(Giuseppe Garibaldi)ですが、彼自身は1882年6月2日、Toscanoが生産される前に無くなっているので、彼自身が愛煙していたという事はありません。但しイタリアの英雄として彼が訪れた事の無い場所の津々浦々まで、彼の名前の通りがある程の人気者の事、彼が吸っていなくても、イタリアの象徴として彼の名を冠したSigaroがあっても誰も咎めませんね。
愛煙家には肩身の狭い世の中になりましたが、こういう文化は後に伝わって欲しいと熱望します。実は自分の商売にしようかな、とも考え中。
この項 了。
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 収穫 ①
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 収穫 ②
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 収穫 運搬③
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 火入れ前固定④
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 火入れ⑤
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 火入れ⑥
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 乾燥中⑦
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 成型中⑧
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 成型中⑨
Toscano Sigaro トスカーノ シガロ 生産量 2016年 火入れしたケンタッキー葉の生産量は
わずか5.8%