Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 62
Fontodi-Flaccianello della Pieve 1983 その1
マット・クレイマーが著書『イタリアワインがわかる』の中で、CerettoはBella figuraだと書いていましたが、私の中ではイタリア一番のBella figuraはここ、FontodiとGiovanni Manettiではないかと思っています。
ワインのスタイルから建物の隅々まで、余裕が感じられます。
Flaccianello della Pieve 現在はBIO認定。 エノロゴ:Franco Bernabei
クリュ;Flaccianello、7h, 南~東だれ、420m slm、粘土質・砂・石・ガレストロ、樹齢40年、3300株(現在6000株)、Guyot、Resa:50qli、RF、醸し:3週間以内、INOX、28~30度、熟成:225l、トロンセ&アリエ、24カ月、新樽率30~40%(但し10~20%は焼いていない生樽を使用する)、1981年~、35000本(現在60000本)
※Sv100。昔は畑表記の様にVigneto Flaccianello表記の畑があったが、現在は呼称『Conca d'Oro』の最高の区画(ほぼ最高標高の場所)を中心としたセレクションブドウから成り立つとしている。但し、現在でも(地元人で)一定区画をVignato Flaccianelloと呼ぶ人が少なくない。目印は写真とGoogleで紹介した大小二本の木。これを中心に東はFlaccianelloのエティケッタに十字架シンボルがある教会まで、北はVia Conca d'Oroまで。
FlaccianelloはエノロゴFranco Bernabeiの存在が大きい。1952年、AbanoTerme出身。Venetoで醸造学を取得、但しコネリアーノでは無くFacolta di Agrira a Padova卒。26歳からトスカーナでエノロゴ開始、79年にFontodiと組み始め、81年、若干29歳でFlaccianello初年度、83にはFelsinaのFontalloroとRancia。凄まじいスピード。
Bernabeiのスタイルは、濃密だが華麗、果実香+花、味のピークまで早めに持っていく事。5年経たないと飲めない様な重いタイプとは無縁ですね。その中でもFlaccianelloに関しては所謂『Chiantiの発展形』とみなされる事とは一線引きたいという感じがします。とにかく初期インパクトが強く、激しい。薫り飛びが可憐で華やかですね。5年位経過すると、薫り押しから味の複雑さにシフトする時が必ずありますが(rinascita・復活と勝手に呼んでますが)、良年の場合はそこからの変化が面白く、私が飲み始める85位からは興味深い変化を遂げていました。Vol20 8/9に書いた95年ミラノ日本人会でも、並み居る猛者の中で88が大健闘していました。
Flaccianelloはタンニン押し、パワーで押し切るタイプでは無いので、熟成するとタンニンなどの過多な角が取れて、更につるつるになります。どんどんと密度の高い球に変化していきます。その代わり、性格を指し示すひっかかりが無くなるので、難年や、(滅多に無いですが)外れロットのワインや、セラーで雑な貯蔵をされた物などは変化に耐えきれずそこで落ちて消えます。Flaccianelloの不思議な事、皆さんのご意見が極端に割れる事が多く『Flaccianello最高』と『期待するも今イチ』の差の激しさはいつも不思議に思っていましたが、やはりこれが原因だと思います。
但し、Mgは実に評判が良いですね。毎年の生産本数データはありませんが、今までの経験上、難年と言われている年でもFlaccianello Mgで外れたと聞いた事がありません。密度が濃いBernabeiスタイル、750だと落ちる場合もMgならある程度持ちこたえるのと思います。
次回Flaccianelloを総括します。