Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 51
番外編 Merlot
今回は番外編。以前お約束したMerlotについて。
Merlot。困りましたね。最近の異常気象はイタリアで人気の高いMerlotに悪影響を及ぼし始めました。
Merlotはイタリアの気象条件と地層が合ったのでしょう。60年代にコネリアーノ、アルバの醸造学校で紹介され、特に北部VenetoでのMerlotは大成功します。
渡伊していた際、60~70年代後半のVilla Dal Ferro-LazzariniのColli Berici Merlot Campo del Lagoを何回か飲む機会がありましたが、未だにイタリア最高のMerlotだと思っています。実は現在のInama Merlotの源畑です。樹齢50年。Inamaがここを買い、同名で生産し続けています。ありがたや。
エノロゴの南下とMerlotの幸せな出会いが特にToscanaを中心に花開き、以降以南の全土に一気に広がります。100%で仕込んでも良し、他の赤との相性も良し、加えると必ず旨くなるダシ加減も抜群。イタリア土着品種の特徴である『偏り』が無く、この上ない色・薫り・味のバランスを齎し、それを使ったワインの高評価にも繋がりました。
Vini d’Italia88のTreBicchieriでは
Ca’del Bosco-Maurizio Zanella1985 (Vol.6. 7/23)
Paola di Mauro(Colle Picchioni)-Vigna del Vassallo1985 (Vol.7. 7/24)がMerlot入りの赤で獲得。
Merlot100%のTreBicchieriは、1994年版でVigna L’Apparita1988が初めて獲得します。
前述のCampo del Lagoの他、70~90年代で好きなMerlotが三つ
・M (di Ornellaia) 1986 Ornellaia (Massetoのファーストリリース時の名前)
・Merlot 1988 Avignonesi (Desiderioのファーストリリース時の名前)
・Breganze Merlot ”Marchesante” 1993 Maculan(マルケージのバレルセレクション)
さて、昨今の異常気象です。40度を超える場所もあれば、ドロミテ・AAでは8月に雪も降ります。
ブドウの生育環境も大きく狂いました。白はボケた酸が顕著(後日書きます)。赤は?温暖化を歓迎・対応している生産者も若干いるようですが、Merlotの恩恵に授かってきた生産者は、いよいよMerlotの栽培がしんどいですね。
既にGajaはToscanaでの比率をMerlotからCF主体へ変更決定、実施しています。私は未だにGajaToscanaは?ですが、それでも、この決断の対応力の素早さは流石Gajaですね。
さあ、他社はどうする?抜く?諦める?誤魔化して使う?何かを加えて別物にする?
恩恵も大きければ、その反動も大きい。各生産者は知恵を絞って、何とかこの危機を乗り越えてくれと、切に願います。まあ、厳しい言い方をすれば、今後Merlot依存を控えようと思ってくれればなあと思います。ちょっとMerlot100%、高くなり過ぎましたよね。
なお、今回ここで触れた銘柄
・Colli Berici Merlot Campo del Lago/Villa Dal Ferro
・M (di Ornellaia) 1986/Ornellaia
・Merlot 1988/Avignonesi
・Breganze Merlot ”Marchesante” 1993/Maculan
はいずれご紹介します。
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