特別編 コニャック:デラマン | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 50

Distillati&Liquori di Gualtiero Marchesi その3

 

Delamain

-Tres Vieille, Grande Champagne de Cognac, Reserve de la famille,

-Tres Vieux Cognac de Grande Champagne, Selez. Gualtiero Marchesi

 

週一のマルケージバーワゴン&バー棚紹介。今回はCognac,Delamainです。

 

マルケージの嗜好として、シンプル、ニュートラル、分りやすい事があります。このPBコニャックは正にその味覚表現の手本ですね。確かに2種共にG.Champagne、共通項は沢山ありますが、味の透明感が全く違う。華麗でリッチな味わいを避け、シンプル且つ研ぎ澄まされつつも分かりやすい味わいを好む傾向が強かったのです。

 

彼の好んだものは

ボルドー赤よりブルゴーニュ赤。ブルゴーニュ赤ならVolnay。

ピエモンテ、トスカーナのワインよりロンバルディア、ヴェネト、エミリアロマーニャ。

ヴェネト・アマローネよりヴェネト・メルロ。ヴェネト・メルロならBreganze Merlot “Marchesante”/Maculan

ソーテルヌよりイタリアの貴腐&Passito。イタリア貴腐&PassitoならTorcolato又はI Capitelli。

BellavistaもCa’del Boscoもどっちも好き(これ、忖度)。

MilanよりInter(これ、本当)。

後者2つはさておき、皆共通項が。やはり味わいが澄んでおり、複雑過ぎない、過多にならない物。彼の創り出す料理と同様の彼らしい嗜好です。

 

確かにRes.F.は情報量が多く、訴えかける物も多いのですが、饒舌な語り口が彼にとっては過剰だったのでしょう。Selez.GMは当然の事、原酒構成がRes.F.より若いのですが、それを更にキリキリと研ぎ澄ましていった感が強く、薫り・味が直に訴えかけてくる要素が非常に多かったのです。特に樽由来の薫り・味が控えめで、原酒の持つ力がストレートに表現されていました。但し、そこはさすがDelamainのG.ChampagneでTres Vieux。ダシの効き方は素晴らしく、余韻が長い。

更に最もマルケージらしい考え『余白がある事』。これは彼の思考と嗜好を語る時に大きなキーワードですが、人がその物を目の前に『考え・味わう』隙を与える事。そういう彼の意向を反映した、控えめながらも非常に贅沢な一本でした。

 

未熟な私には、両方甲乙つけがたい。

まあ、強いて言えばMilanかな。

何を隠そう1995年の5月、ミラノフォーシーズンズホテルにて、フランコ・バレージ35歳の誕生日ケーキを、バレージ自身と切り分け一緒にサービスしたのはこの私です。

必ず送ると約束してくれた、彼と一緒に撮った写真はまだ手元には届いていませんが。

おや、Calcioの話では無かったですか。それは残念。

 

また一本、来週にご紹介します。