前回は、牛乳を搾るためには子牛を産ませなければいけない。しかしホルスタインの雄が生まれた場合は牛乳を搾る事ができないので売る事になるが、高くは売れない。どうにか収益が出るようにはならないか、ということで考え出されたのが、ホルスタインと黒毛和牛のハーフであるF1、というところまで書きました。
 では具体的にこのハーフをどうやって作るか? 牧場にホルスタインの雌と黒毛和牛の雄を放して自然に交尾させて作る……ということは無いそうです。
 現在、牛の子供は人工受精によって作られるのが主流で、F1種はホルスタインの雌の子宮に黒毛和牛の精子を注入することによって作られます。作業は獣医師さんか酪農家の方が行い、雌牛に発情期が来たころを見計らって人工授精が行われます。(もちろんホルスタイン種の子牛を作るときも人工授精を行います)
 こうして生まれるのが真っ黒い身体のF1の子牛なのです。見た目は純粋な黒毛和牛と変わりません。見る人が見れば体格で区別がつくそうですが、素人には区別不可能です。子牛市場での価格はホルスタインの倍以上の価格がつき、酪農家が利益を出すのに貢献しているとか。
 こうして作られたF1の牛ですが、肉質は黒毛和牛に劣らず、成長はホルスタイン並みに早いと両方の種の長所を併せ持ち、さらに消費者には高価な黒毛和牛にも負けないおいしさのお肉を安価で購入出来るというメリットをもたらしてくれます。そんないい事尽くめのF1の牛ですが、残念ながら一代限りなのだそうです。なぜなら、成長したら子供を残す事無く、みんなお肉になってしまいますから……。
 さて前回の牛の話その1において、お肉になる牛は主に、
○ホルスタイン
○黒毛和牛
○ホルスタインと黒毛和牛のハーフ
 の三種類と書きました。スーパーなどの店頭に並ぶお肉には「国産黒毛」や「国産牛」と書いてあったりしますが、三種類の牛のどれであるかというのははっきり解りません。例えば『国産黒毛牛』と書いてある場合、その肉になった牛が黒毛和牛かF1の牛か解りませんよね。黒毛和牛、もしくはF1だとすれば両方とも黒い毛の牛なのでウソを書いてある訳じゃないですが、これがもしホルスタインのお肉だったら……。
 ということで今日はここまで。
 次回はスーパーに並ぶお肉の種類を買わずに判別する方法についてです。