新海誠監督から、コメントをいただいております。
http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/index.html

チラシ等は、一部抜粋したものを掲載しておりますが、
こちらでは、全文の掲載をいたします。



「双子のパラドックス」という思考実験がある。
双子の片方がロケットに乗ってずっと遠くまで行って、
再び地球に戻ってくる。
すると相対性理論により地球に残った片方のほうが
ずっと歳をとっていて云々、というやつである。
僕がこの美しい映画を観て思い出したのは、この言葉だった。

地上に生きるしかない僕たちの時間も、
ある意味では人によって流れ方が違う。
僕たちは愛する人とずっと同じ時間を生きたいと願うが、
それを叶えることは実はとてもとても難しい。
だから誰しもそれぞれの生き方を学ばなければならない。
双子の旅はそういう焦燥に貫かれていて、
だからその姿は、とても深刻に僕たちの胸をうつ。

そしてその若い焦燥を、おそらくは主演の中村姉妹を含めた
制作者たちも共有していたのではないか。
世界の何処に立つべきかをまだ迷っているかのような
双子の姿を見ながら、僕はそう想像する。
きっとその時期、その人たちにしか撮り得なかった一篇なのだ。
奇跡のようなフィルムだ、と言うほかない。

新海誠(アニメーション監督)