修羅界に舞う
煉獄。かつてのバコスタ島。
そうでなければ。
まるでウィルソン小隊が全滅(正確には隊長を除く)した時のペケージャル。
地獄の中でも修羅界はモンスターの巣窟であり、それを統括する悪魔属の棲家。
黒地に蝶の刺繍の拳法着の裾が揺れる。
サナはここで無数の敵と闘う。
目的は決まっていた。
いわゆる経験値稼ぎであり。
サムソンとの戦闘で闘技場を半壊させた「氣」の力ではまだまだ足らない。
もっと上の力を得るにはもう1ランクアップしたいところだが。
今のリースロットでは手ごたえが足らない。
人魚の力。人魚の秘密。
それによって倒されても蘇ってしまうサナは、わざと死んでそこへ辿り着いた。
肉体が復活するまでにランクアップしなければ。
背後に気配。
強力なモンスターは肥やしであって。今は歓迎する。
強くなったら、今度は国ひとつ潰せるだろうが、標的は帝国にいた旅人たち。
「こうなるとわたしが彼らの敵なのよね」
呟いてモンスターの首を撥ねる。
視界は血に染まり、手刀には返り血が、敵一匹倒したときそのままの手ごたえと共に残っている。
飛ぶように、舞うように闘うということは楽しかった。これが生きるということかと思うほどに。
(笑い出しそうよ)
生き返ったら兄はどんな顔をするだろうか。