8時07分。
目覚めると、家族はすでにいなかった。
土曜日なので普段の日に比べて
起床は1時間ほど余裕を持たせる。
体内時計のセッティングがうまく
いっているせいだろう。
月~金までは7時20~25分。
土、日はほぼ8時15分から30分には
必ず目が覚める。
潜在意識の中の暗黙知がちゃんと機能している、
のだと思うとうれしかった。
体調はまだすぐれていることに。
今朝のほんの少し早い目覚めは、
蝉の鳴き声だった。
庭の先にある低木の茂みで、今年、いや
今朝一番にふ化したクマゼミの合唱だった。
雲の間から除く、復活の朝日が刺すように
顔を照らした。
真夏の真ん中に突入したことを知った。
不思議だったのはアブラゼミの声がまだ
なかったことだ。
毎年、ほぼこの2種類の蝉が同時に鳴き始める
はずだが、今朝の鳴き声はクマゼミのもの
だけだった。
漆黒の胴体に灰色の腹部、大きな甲冑を
透明な羽根のマントから透かしてみせるその姿は
堂々たるもの。
近辺で確認できる蝉の中では最も大型だ。
そして、木の幹の真ん中を補足前進しながら
鳴く。
怖いもの、天敵がきっといないのだろう。
アブラゼミやミンミンゼミ、ヒグラシのように
気配を感じるとすぐ飛び立つ、
ということがない。
接近しても何のためらいなく鳴くのは
この大きなクマゼミだけだ。
少年がいたら出勤時間ギリギリまで
いっしょに捕獲の手伝いをしてやれたが
当の主役がいないのでは意味がない。
そういえば、今日の彼は市内で行われる
陸上競技会に出場しているのだと
わかった。
短距離走では相変わらず記録が伸びずに
悩んでいた。
50メートル8.7秒は、陸上をしているという
割りには遅い、としか判断できない。
少し食べすぎが祟って、身体が重くなって
いるのだろう。
今夜聞かされることになる参加競技の結果には
あまり期待していない。
400か800の中距離にも初出場らしいので
初出場の競技へのコメントをせめて
楽しみにしておこう。
彼が今、走っているグランドにも
クマゼミが鳴いているだろう。
風はない。日が高い。熱中症の心配。
母親が付き添いで行っているから
それは不要だ。
また、殺人的な暑さが戻ってきた。
外に出るのはおっくうだが、ひと仕事ある。
お待ちいただいているクライアントがある。
ポカリスエットを1本飲んで、
さあ出動するとしよう。
