友人たちとの会食に、久しぶりに赤坂の『まき田』を訪れた。
暑い夏でも、エアコンをガンガン効かせて食べるちゃんこ料理は美味い。
それに、『まき田』では美味いワインも楽しむことができるのだ。
合わせるワインは白。
ロワール川右岸のプイィ・フュメ、ドメーヌ・セルジュ・ダグノーが造る2005年。
私は、ソーヴィニヨン・ブランのプイィ・フュメが好きだ。
そして、セルジュ・ダグノーは好きな造り手である。
ミネラルと酸がしっかりとついた、素晴らしいボディ。
暑い外で火照った身体に冷えたプイィ・フュメが染みわたる。
ワイングラスと、相撲コースターのコントラストが面白い。
水菜のお浸し。
あっさりとした料理がありがたい。
あっという間に白を飲み干してしまい、赤に切り替える。
女将が用意してくれたワインは、何とボルドー、サンテステフのグラン・クリュ、シャトー・カロン・セギュール、1997年。
エチケットのハートのマークが有名なワインを、男だけで飲むのは気が引ける。
温度が高かったので、プイィ・フュメの後のクラッシュド・アイスに短時間漬けて冷やす。
97年は評価が低いヴィンテージ。
しかしこのカロン・セギュールは、13年の熟成を経て、柔らかくふくよかな素晴らしいボディに変化している。
昔の力強いイメージではないが、97年も充分に美味しいことを知って、嬉しくなる。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー20%、カベルネ・フラン15%。
料理は店の人気メニュー、手羽先の唐揚げ。
これだけでワインが進む。
夏らしくて美味い。
女将が用意した二本目は、これも何と驚きのファットリア・デイ・バルビのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ、2000年。
バルビは、1352年以来モンタルチーノに土地を所有するコロンビーニ家の所有。
バルビ自体は16世紀からあるワイナリーで、コロンビーニ家の所有となったのは1790年。
丁度この頃からブルネッロの生産が始まったと言われている。
そして、コロンビーニ家はトスカーナのワインの品質を上げ、ブルネッロを世界に知らしめた貢献者なのだ。
ブルネッロは、50か月以上の熟成が義務付けられている。
そしてリゼルヴァは、62か月以上の熟成が義務付けられている。
サンジョヴェーゼの変異種、ブルネッロ、またの名をサンジョヴェーゼ・グロッソというぶどうから造られる世界最高のワインのひとつ。
今夜まさかこんなワインに出会えるとは思ってもいなかった。
女将、ありがとう!
ここで本来はちゃんこ鍋になるのだが、赤を楽しむためにインカの目覚めのフライを出してもらう。
これは、飛びきりに美味い大将手作りの烏賊の塩辛。
新鮮で良質な烏賊が手に入ったときにのみ造られる、大将の自信作。
そしていよいよちゃんこ鍋。
隣のテーブルで造り、綺麗に取り分けてくれるので、暑い湯気を気にする必要はない。
ここのちゃんこは私の知る限り、一番美味い。
具を食べたあとは、もちろんうどん。
そして、雑炊。
出汁の旨みを全て閉じ込めた雑炊は最高。
また、お代りをしてしまう。
友人たちとのちゃんことワイン。
楽しく、ちょっと素敵な夜でした。