俺「で、よ。置いてけぼりになった話を再開してええか?あの黒女は一体何だったんや?寺から出た後、一旦ホテルに戻ってからラーメン食いに行ったやろ。寺の出口まで付いてきたのは分かるが、何でラーメン屋の向かいに立ってるねん?」

奴「俺が知るわけないやろ」

俺「ラーメン屋出た瞬間、チビりそうになったわ」

奴「トイレ我慢しすぎやろ。溢流性尿失禁やな」

俺「ちゃうわ。腹圧性尿失禁じゃ。あんな状況で我慢の限界維持するわけないやろ。一瞬で限界突破するわ」

奴「ちょっと何言っているかわからない」


俺「あのニタニタ顔…。俺でも分かったわ。悪意の塊…。思い出したらチビりそうやわ」

奴「切迫性尿失禁か?」

俺「違うわ!お前には緊張感という言葉はないんか?」

奴「過去の事やろ。今さら思い出して何になるねん。フラグにしか聞こえんぞ」

俺「やめろ」


奴「ところでお前。ラーメン屋が最後みたいに言ってるけど…」

俺「はい?ラーメン屋がラストやろ?正確に言うとラーメン屋の道路挟んで向かいの歩道やけど」

奴「全く…。想像力と観察力の足りん奴め」

俺「え?まさか…」

奴「ちゃんとおったぞ。ホテルの入り口に」

俺「嘘やん…」


奴「さすがに中には入れないようにホテルのスタッフに言ったけどな。一応、理由も説明して」

俺「いやいや、相談するところ間違ってるやろ。ホテルマンじゃなくて警察やろ。飛び込みで『泊まります』って入ってきたらどうすんねん?ホテルマンも客なら断れへんやろ」

奴「別に何も実害がなかったしな。ま、客として入ってきたらホラー継続やったな」

俺「他の2人は知ってるん?」

奴「言ってない。別にわざわざホラー継続させへんでもええやろ。俺が注意してたから問題ない」


俺「マジか…。なら、マジで一歩間違えば枕元に立ってたかもしれへんやつやん…」

奴「だから、枕元に立たれるとしたら、お前の鍵の閉め忘れや。自分のミスは受け入れろ」


俺「で?マジであの黒女…何やったん?」

奴「だから、知らんって。ちなみに生き霊ではなかったぞ」

俺「つまり…マジの変質者やん」

奴「純度100%やな。今の時代は『個性』か。ニタニタしながら人をつけ回す一風変わった趣味を持った女性やな」

俺「おい。人はそれを変質者と呼ぶんや。ポップな感じに言うな」