Sさんの手料理を堪能し、しばらく他愛もない話をした後、我々二人は現在…居酒屋にいる…。
とにかく酒で消毒だ…。
俺「おい?あれは何の修行や?」
奴「勝手に付いてきて修行とは失礼な奴やな。下心悶々でウキウキしてたくせに。それに修行じゃない。あれは苦行や」
俺「どっちでもええ。まだ味の感覚が戻らん。何食ってもほのかに苦味がある」
奴「お前が駐車場で『終わりの始まり』の話するからやろ。ある意味、終わりが始まったけどな(笑)」
俺「勘違いの2つ目って、まさかのコレの事か…?」
奴「ちゃんと俺は言ったぞ。『お前は勘違いしている』って。『サンプルが増えて喜ぶ』とも言ったぞ」
俺「まさか…。あんなに味音痴やったとは…」
奴「まぁ、世の中には辛いとか酸っぱい食べ物が好きな奴もいるからな。マヨネーズかけまくる奴だっておるやろ?Sは苦味が好みなだけや」
俺「苦いカレーなんて初めてや。あれはカレーで合ってるか?ハンバーグも苦かったけど、カレーがかかってるから、もうよく分からん。何やアレ?ドッキリか?俺、何か悪い事したか?二人の時間を邪魔した罰か?」
奴「よく喋るな。テンションMAXになって良かったわ」
俺「アホ。口閉じたら苦味が充満するんや」
奴「(笑)」
奴「でも、アレでもマシになったんやぞ。苦かったけど食べれたやろ?」
俺「おう。何処かの国の料理やと思い込んだからな」
奴「最初の頃はカレーにカブトムシ入ってたからな」
俺「…。はい?」
奴「食用のカブトムシってあるやろ?」
俺「知らん!」
奴「あるねん。ちなみにオスメス両方な」
俺「マジか…。その情報はいらん。さらに気分悪くなってきた…。カレーにカブトムシって…。『ヒヒヒ』とか言って魔女が作るやつやん!」
奴「しかも、そのままの姿な。粉々なら何とかいけるけど、そのままやからな…」
俺「そんな事あるか?無いやろ!そんなシチュエーション。『このカレー何が入ってるの?』『カブトムシよ』ってシチュエーションが世の中あるか?スプーンで掬ったら『カブトムシいました』なんて事が世の中あるか?」
奴「あるんやから仕方がないやろ。現に食べる用のカブトムシが売ってるんやから。確実に需要はあるって事やろ」
俺「…。きついわ…。毎回これなん?」
奴「だから、マシになったって言ったやろ?今日は俺がカレーを作る予定やったけど、お前が来るって言うからSに任せた」
俺「任せるなよ!作れよ、俺に!いつものカレーを」