俺「なぁ?事務のSさんと付き合ってんの?」

奴「おや?いきなりのパターンやな。どういう事だ?」

俺「なんか噂になってるぞ。噂してんのは主にK達やけど」

奴「なるほど。それで真偽を確かめに来たわけか」

俺「そんなところ」

 

事務のSさん。クールビューティーで、とてもスタイル抜群の女の子。

一言で言うと「菜々緒」だ。

当然、彼女を狙う輩は多い。

どんな時も誰に対しても愛想の良い彼女。

勝手に誤解して撃沈する男は数知れず。

彼氏はいないらしいが、誰とも親密な関係にならない為、本当かどうかは怪しい。

プレイボーイの事務主任でも、彼女と距離を詰めることは出来ないでいた。

そんな中、とある噂が流れる。

 

(奴)とSさんがスーパーで一緒に食材を選び、Sさんの車で帰っていく一部始終を目撃した職員が現れる。

目撃した職員というのが、メンドクサイ事にクズのHだ。

当然のごとく、その日の内に若い子達にラインが回る。ご丁寧に写真付きだ。

Hよ…。一体お前は何がしたいのだ。

その情熱を少しでも………。いや、言っても無駄か。

 

(奴)は話題に事欠くことはないのだが、その中でも浮いた話しが(奴)にはない。

なんたって(奴)は私生活を一切語らない。

当然、色んな意味で色んな人が興味津々だ。

 

俺「で?」

奴「今日、お前も来るか?Sの家」

俺「はい?」

奴「切った食材を煮たり焼いたりしたやつが食えるぞ」

俺「え?あのSさんの手料理が食えるのか?行くに決まってるやん」

奴「切った食材を蒸したり揚げたりしたやつが食えるぞ」

俺「恥ずかしがり屋か!そんなキャラちゃうやろ?素直に彼女の手料理と言えよ。ってか、俺行ってもええんか?嬉しいけど、悪くない?」

奴「いや、喜ぶと思うで。サンプルが増える分には」

俺「はい?」