シンガポール・スリングはレシピが2つあるそうだ。

ラッフルズスタイルとサヴォイスタイル。

当然、スタイルによってレシピがかなり違う。

1つのカクテルにレシピが2つ…。

自分で頼んどいて何やけど、意味分からん事がまた増えた。

 

奴「で?次の質問は?ついでにサヴォイスタイルも作ってやったぞ。飲み比べてみろ」

俺「お、おう」

並べられた2つのグラス。見た目も味も全く違う。

でも、どちらも『シンガポール・スリング』だ。マジで意味分からん。

 

俺「これって、他の店で頼んだらどうなるん?」

奴「店の考えによる。でも、サヴォイスタイルの方が多いかな。使う種類も少ないし、なによりラッフルズに比べて簡単やからな。希望すればどっちも作ってくれると思うけど、会計がメンドクサそう」

俺「やっぱ値段も違うん?」

奴「当然。使ってる材料が倍違うしな」

俺「ここでもか?」

奴「当たり前や。普通なら一杯千円以上やぞ。ラッフルズならもっと取る。唯一、お前だけや。全部一杯500円均一にしてやってんのは。さらに、チャージも免除でな。だから、その豆は残さずありがたく食べろよ」

俺「お、おう」

 

奴「で?次の質問は?」

俺「部長に言ってた『参謀』って何や?火曜日がどうの…とかも言ってたよな?」

奴「それは本人に聞け」

俺「教えてくれへんのか~い。『質問は?』って言ってたのに」

奴「だから、本人に聞け。ほら、来たぞ」

俺「はい?」

 

扉を開けて入ってきたのは、まさかの部長…。

 

…。…。…。は?