精神面の不調を理由に欠勤が続くM。
理由は夜勤中の恐怖体験なのだが…。
『幽霊が怖くて仕事が出来ません』などと公に発表できる訳もなく、絶賛作戦会議中。
取り敢えず、俺はツッコミ担当のようだ。
奴「『どうする?』のどうするは1つでいいんすか?」
俺「はい?」
部長「2つ。管理会議用と今後の対応の2つ」
俺「管理会議用?」
奴「要するに休んでる理由や。トップの会議の議題の1つ。『職員の状況報告』やな」
俺「そんなん『体調不良』でええんちゃうの?逆に『幽霊が怖くて休んでます』の方がドツボに嵌まるんちゃう?説明しようがないやろ」
奴「おいおい。すでに手遅れや。今まさにドツボに嵌まってるねん。だから、俺らが呼ばれとんや。わざわざ残業代も発生してな。でしょ?」
部長「正解」
俺「は?」
部長「すでに『Mの休んでるのは心霊現象が原因』って噂が廻ってる。事務長クラスにも。当然信じてないけど」
俺「そうでしょうね。むしろ部長がこっち派なのが意外なくらいですし。でも、信じてないなら別に放っておいてもいいんじゃないですか?」
部長「そうなんやけど。そうじゃないのよね…」
俺「?」
奴「おそらく、『心霊現象が原因で休む→そんなわけないだろ→なら、他に原因は?→心霊現象を理由にするくらいだから、言えないのでは?→他に精神的に追い詰められる事って?→イジメか』的な事になってるんちゃいますか?」
部長「大正解。リンゴジュースもう1本」
奴「いえ~い。3本目」
俺「は?んなアホな。想像力豊かすぎやろ。ってか誰や?噂の発生源は?ってか、3本あるなら1本よこせ」
奴「バカは1人しかおらんやろ?」
俺「Hか。あいつもしかして…?」
奴「やろうな。俺とお前が揃っていたからな。ある事ない事、増し増し盛り盛りで頑張ったんやろ」
俺「つまり…。俺らがイジメてたと思われてる?」
部長「あ~、それはない。あんたらの信頼度半端ないから。とくにコイツ。トップクラスはアンタ等じゃなくて、他にイジメているスタッフがいるんじゃないかって疑ってる」
俺「確かにキツイ指導方針の人もいますけど…」
奴「最高やな、俺。様々な弱みを握りまくってる甲斐があるわ」
俺「あの…。部長?こんなん言ってますけど」
部長「大丈夫、大丈夫。誰だって妖怪退治はしたくないから」
俺「…。(マジでコイツ…何なん?)」