少しの沈黙と、電話越しに聞こえる物音…
こういう時の沈黙って、長いようでありがたいとも思う。
何故なら、相手はそうやって時間を稼いで何かを考えようとしてるのかもしれないけれども、それもお互い様で、こちらにも考える時間というものを頂けているからだ…
「んで、あなたでしょ?旦那にちょくちょくメールや電話をしてきてる人は」
「いや…」
「それは仕事の相談にのってもらったり、個人的な悩みを聞いてもらったりしてたんです」
「そんなに仕事という言葉を使われるけど、こんな祝日に電話してきたり、仕事関係者の人に○○さんとご飯食べに行くのが夢なんです〜 とか言って食事に誘うとか… 会社の方針ですか? それとも個人的になさってたのですか?」
「もしそれでも仕事でとおっしゃるなら、あなたの会社に会社の指示でしたことか否かを確認させて頂きますが?よろしいですか?」
「か…会社はやめてください!!」
「でも!本当に友達です!!」
「友達って言ったら何してもいいの?ちなみにセフレもセックスフレンド、友達って言葉が入ってるから、セフレも友達だよね?」
「違います!」
「何が違うの?」
「でも!本当にセックスセックスはしてません」
「何故またセックスという単語が出てくるの?」
「それは本当に信じてもらいたくて!」
「それは…って、それ以外何があるの?」
「別に何もありません」
「何も無くはないでしょう?」
「それと… あなた、私あなたの友達じゃないから、その ”でも!” って言うのやめてもらえない?」
「知ってる?人が”でも”って言葉を使う時って、大抵何か言い訳を言おうとする時、もしくは人の話を聞かないで、自分の意見だけを言い通そうとする姿勢がある時なんだけど… あなたは私の話を聞く気が無いの?それとも言い訳をするために電話してきたの?」
「いや… 言い訳をするつもりはありませんし、するような事はありません」
「まぁ〜いいゎ、どちらにせよ離婚するのは変わり無いから」
「いや… それは…」
「何?」
「もう私の方から連絡しませんから」
「え?連絡して頂いても構いませんよ?だって、どちらにせよ離婚すると決めてますから」
「いや… 確かに行き過ぎた友達関係だったとは思います… でも本当に友達なんです」
「で?だから??」
「ところであなたのご実家の連絡先と、念のため、あなたのご両親のお名前を頂けるかしら?」
「いや… え… え…」