Buono!フランス公演のよもやま話と諸々 | 寒い季節は暖かくしなきゃね
というわけで、大盛況だったらしいBuono!のフランス公演ですが、実際には「Dolceを呼ばないなんてありえない」「衣装替えがない」「アンコールがない」などの不満点も指摘されているようですね。

まぁ、オトナの考えをすれば、さすがにDolceを招聘するコストは難しいだろう、というのは想像が付きます。また、そうした難しい課題を前に、肝心のBuono!の招聘自体を断念してしまうことも十分有り得る。日本側が(多くの日本のファンが思っているように)「Dolceも一緒じゃなきゃダメでしょ」と言い張ったら、今回のフランス公演を含め、海外展開は実現しないかもしれない。

大事なのは、まずはBuono!の3人を見せつけることだし、3人でも良いから現地のファンと交流を持つこと。バンド云々、サウンド云々というのはその後でも良いんじゃないかって思います。

無論、食い下がる意見として「バンドサウンドが評価されているわけだし、その威力を海外で見せつけるチャンスにカラオケは無い。行く意味が無い」という意見があるのも分かります。言わんことしていることは理解できますが、Buono!の3人だけでも行くか、Dolceと一緒じゃなきゃ行く意味がないか。その価値判断は、今回のビジネスとしての座組の中でしか決定できないこと。そして、Dolceがいなきゃ見ない、というフランスのファンがいるなら見なきゃいい。「まずは3人だけでも見たい」と渇望しているファンにアピールするステップが第一優先だったでしょうし。

コスト面のことを事例として考えてみましょう。
今回のフランス公演のビジネスがどういう成り立ちなのか、厳密には分かりません。「フランス側から呼ばれた」とか「エキスポ系のゲストとは違う」など、様々な言われ方をしていますが、肝心なのはお金の動き。

仮説を立てると、今回はフランス側のSOUND LICIOUSの主催・仕切りと考えられています。あとは協賛でNOLIFE TVとかが関与する感じかな? そのあたりが良く分かりませんが、とにかくフランス側の胴元が出資して、Buono!を招聘した。

SOUND LICIOUS側は、チケット収益とグッズ収益でその招聘代をペイし、利益を出す。例え利幅が薄くても「日本のアイドルを呼ぶプロモーターとしての力量」というものをアピールできるメリットを利益換算する考えもあるでしょう。とにかく、招聘コストは、こうした行為で回収していく(有形・無形含め)。

話の諸端は、日本側(UFA側)に対して「Buono!を呼びたいんだけど、いくらかかりますかね?」なんて打診からスタートしていった可能性もあります。Buono!サイドは、マネージャーやライブディレクションを行なう担当などの帯同者を含めた総コストを見積りとして出しますが、そこで「Dolceあり・なし」のパターンもあったかもしれません。もちろん、Dolceありのほうが高額になります。

またバンドサウンドの追求は格好は良いですが、実際にBuono!のライブにおけるバンドサウンド(Dolceの役割)は非常に複雑な気がします。細かい部分は過去のブログから類推してもらうとして、乱暴に言えば、プレイバック機材からSRエンジニアまで最小単位一式で挑まないと再現が難しい気もします。少なくとも、Dolceなしの完全オケ、バックはDolceによる演奏のみ、バックはDolce演奏+オケの組み合わせ(このバリエーション多し)、横ブリでやったようなオケ+1楽器を乗せるだけのパターンなど、ライブシーンに応じて、Dolceとオケの兼ね合いが多彩。

そういう意味で、純粋にBuono!&Dolce=3ボーカル&4パートの7人編成のバンドとは言いがたい、妙にテクニカルな技術部分があってややこしい。なんてことを考えて、MSIのスタッフを入れて……とかやってると、どんどんコスト高になってくる。いや日本側としては当然の請求でしょう。だとしても、フランス側としては「そんなに払えないヨ。上限はココまでネ」と、おおよそボノメン3人+マネジメント帯同者程度のコスト提示になってくるもんです。

フランス側も、たぶん最初からDolceを付加することが格安で済むとは思ってないでしょう。バンドを入れたら、それこそ現地で雇うSRエンジニアも、ステージアシスタントやサード、モニターなど2倍~3倍に増えてしまう(それこそ日本からエンジニアチームを呼んだほうがテクニカル面では安定)。単なる歌リハだけじゃなく、仕込からサウンドチェックまで要するので、会場レンタル時間もスタッフ拘束時間も長くなる。トータルコストは爆発的に跳ね上がるはず。なので、当初からDolce付きは諦めていたかも知れませんが、ビジネスとして一応交渉はしたかもしれません。そのあたりは分かりませんケドね。

結果としては3人のみ。そこでの判断は、金額なのか、まずはアイドル3人をしっかりと打ち出すことを最優先したのか("Buono! with Dolce"というバンドの打ち出してはなく、ハロプロアイドルの精鋭3人というアプローチ)。そのあたりは分かりません。とにかくフランスの招聘サイド(SOUND LICIOUS?)の判断であり、UFAがダメだとか、Buono!としての活動をどう考えてんだとか、そういう話じゃないと思います。

端的に言えば「今回は3人のみ来てください(その金しか払えないんで)」とフランス側からの最終提示があったから3人で行った、というノリだと思えば分かりやすいでしょう。スタイリストを呼ぶ経費も出せないので、衣装替えもない、みたいな。

ただ、結果として盛り上がったんなら良いんじゃないかと。まずは結果オーライ。これが完成形じゃない。期待や課題を次回に活かせばいい。

もちろん個人的にも、Dolceがいたほうが良いと思っています。ただ、無い物ねだりをしてもしょうがない。Dolce無しでも3人で100%パフォーマンスを発揮すべきでしょうし、そうした割り切りは必要です(実際に六本木ラフォーレでもDolce無しで10数曲やって盛り上がりましたからね)。

あと、更に暴論として「だったらUFAやBuono!サイドが自腹を切ってでもスタイリストやDolceを入れるべきでは?」という意見。気持ちは分かりますが、お互い慈善事業じゃない。言い方は悪いですが「海外でのBuono!初体験の場としては、まずはDolce無しからスタートで良い」という考えもできます。集客も見えなければ、チケット代の相場感も分からない。だからこそ、今回はこのレベルに落ち着いたたわけでしょう(チケットが即日完売だったのも結果論)。

今後のステップアップとして、より多くの集客が見込めれば(あるいはチケット代を高くしても集客する判断できれば)、Dolceやエンジニア付きのコストも捻出できる。そうした見通しを立てていくのがビジネスってもんです。

そこを無理に「Dolce付きじゃなきゃダメ」とか言い張ってると、一生海外公演無理でしょうね。いきなり読めないビジネスにサインをするプロモーターはいませんから。

あとは、日本側で負担することでどのようなメリットがあるか、ってのは海外ビジネスへの投資問題ですね。フランスが日本に次ぐ第2の市場として、日本にも負けず劣らずCDやDVDが爆発的に売れているのであれば、日本と見まがう活動をする必要も出てきます。

ただ、Buono!メンバーが現地で営業活動をするための渡航費や宿泊費を補って余りあるバカ売れ具合なら、って話です。そうした海外営業活動に力を入れていく下地があれば理解できる話ですし、海外公演も日本側のビジネスの一貫でアジアツアーやヨーロッパツアーなどを行なうレベルであれば、日本側の負担で商売すべきでしょうけど、今回の話はそうでもないですからね。

こうしたトータルした事業の見通しから、自社負担してでも(赤字を出しても)挑戦するか、提示された経費内で売り興行として行なうか、を判断する。赤字を出してでも(自社負担してでも)挑戦するには、その先にDVDやCD、その他のグッズなどで回収するスキームが構築されていかないと無理な話。

このあたりの話、少々話題は逸れますが、「なぜ福岡に来てくれないんだ!」とか、「北海道でもライブやってよ!」と似ている部分はあります。やっぱ、遠方に行くのに全スタッフの顎足枕+αがかかってしまう。東京公演なら全スタッフほぼ日帰りなのに対して、名古屋以西や仙台以北になると、かなり日帰りが難しい。じゃあ、その宿泊分のコスト増だけ、集客できるのか、客数が同じならチケット代が高く設定していいのか……という話。

いやBuono!やハロプロの場合は集客できると思いますよ。だから今回のツアーも仙台や名古屋、あるいは福岡あたりでもやればいいのに、と思いました。同様にスマも地方に打って出ればいいのに、なんて思います。

ただ地方公演のコストってリアルに計算できちゃうんですよね。
回収面を考えれば、1日1回公演より2回のほうがコストパフォーマンスが良いので2回にする。ただ1日2回公演は、仕込~リハの時間が確保し難いので前日搬入になる。そこで機材のレンタル費用からスタッフの拘束が2日分&前乗り宿泊費がプラス。更に翌日搬出じゃなく、公演日当日に搬出作業までやると、スタッフは帰れなくなるので後泊確定。

東京とまったく同じ内容の公演なのに、地方のほうが施行コストが高くなる。

無論、地方のほうが箱代が多少は安くなるケースもありますが、総じて「集客が不安なのに、コストは高い」という現象になるため、駆け出しのアイドルは、なかなか地方に打って出れない。まぁ、バイタリティがあるアイドルグループで、プロデューサーがSRエンジニア、マネージャが照明などを担当するノリであれば、ライブハウスツアー程度は行なえるでしょうけど、500人~1000人規模のホールとなると、やっぱ音響や照明の業者を入れるコトになるので、身内スタッフの手弁当じゃ無理なわけですし。

そして、こうした「地方公演=コスト高」の最上級が海外公演なわけですね。

というわけで、Dolce無しは残念ではありますが、次回への課題として、今回は初の海外遠征の成功を祝おうではありませんか(無理矢理)。

あとアンコール無し問題。これもよく分かりませんね。
結果として「やらなかった」ということはセットリスト上、やらないって話だったわけでしょ? だったら客電付けて追い出しBG出して、終演アナウンスをとっとと入れれば良いだけ。一説によると15分もアンコールが続いた……って話でしたけど、そこは制作・進行サイドが終演オペレーションをすればよかっただけ。これが本筋。

ただ、実はライブを見た制作サイドが盛り上がっちゃって、セトリ予定に無いアンコールをやりたいと思って、終演オペレーションをせずに(客を待たせる格好のまま)、Buono!側に急きょ「もう1曲やって!」とか無茶な打診してたり? あるいは、そうなると会場サイドとの調整もあるし、その後の予定(サイン会)などの時間調整などもあり、そうしたゴタゴタの結果「やっぱやらない(´・ω・`)」って話に落ち着いたのか。

こうした問題は、現場視点で推察してみると、色々と考えられちゃうんですよね。単なる終演オペレーションの段取りが出来てなかっただけとは思えない(いや海外なら有り得るのが怖い)。

ま、そのあたりのグタグダはフランスの主催者に文句を言ってもらえれば……ってところでしょう。少なくとも、Buono!側やUFA側は、呼ばれて組まれた予定の範囲外の事はできない状況でしょうから、現地の仕切りがしっかりすべき。

特に海外だと、どういう話になってたんだか知らないけど、現地の各種関係者がメリットをお互いに引っ張り合ってケンカを始めることも多々あります。クライアントと現地イベンターと、日本側エージェントと日本の代理店と……なんて四つ巴で唾を飛ばし合う状況も多く、そうなると事務所やメンバーは翻弄されっぱなし。誰の意見を聞いたら良いのかも分からない状況にも陥ります(特に海外公演での立ち回りに慣れてないと)。

例えば、夕食を招待しつつ、そこで独占インタビューを行ないたいみたいなことをA社という出版社が打診してきてて、それをプロモーターがOKしてて、別のB社というTV局が同じよう夕食パーティを打診して、別のイベンターがTV局にOK出しちゃってて、両者にOK出しちゃってるダブルブッキング~トリプルブッキングで担当者同士で現地で揉める……なんてのはよくあります。

いや、みんな善かれと思って動いているんですよね。だから誰かが悪いとかそういうことじゃないから、逆にラチが明かない。そうした喧騒で身動きが取れない状況って、言葉が分からない日本人サイド(特にメンバーは)すごく疲れるわけですよ。ホント、表向きは(ファン相手のイベントとしては)大盛況でも、実態としてはスゲー大変だった、なんて話もありますから。

……なんてこともありつつ、一歩一歩積み上げて行けば良いと思いますね。
ま、フランスだヨーロッパだ言う前に、名古屋・福岡・仙台・札幌をやりましょうよ。まずは「目指せZEPPツアー」ですよ!