昔は良くなかった | キ〇ガイの記録

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精神異常者のたわごと

昔は良かった。と言うひとは「昔」から居る。

 

多くの人が懐かしんでいる「バブル期」が始まる前に描かれた漫画、「サザエさん」でも、「昔は良かった~」とこぼす爺さんが登場する。

 

確かに、昔の方が良い思いができた人もいると思うが、世の中全体が劣化に向かっているとは思えない。

 

バブル期って、本当にそんな良い時期だったの?私の肉親でバブル期を経験した人によれば、「あんなの一部の人しか恩恵受けてない」と言う。

一部の人かどうかは分からないが、今以上に格差が大きかったのでは?

 

どちらにしろ、私がもしその時期を生きていたら、今以上にろくでもない事になっているとは察せられる。

 

支援を受けられぬまま死んでいったある発達障害者

 

ちょっと前まで、障害者の中絶・断種は当然の事とされていた。

 

 

 

この漫画では、生活指導の先生が同性愛者や性同一性障害の生徒を矯正しようとする話があり、当時の世の中を反映している。

 

そう、そういう世の中だった。性同一性障害なんて言葉すら、ほぼ知られていなかったし、同性愛と共に矯正すべき個人のワガママであるとされていた。

 

念のために、作者が偏見の強い人だと言いたいわけじゃない。むしろあまり偏見の無い方だと思った。

ただ、当時はいかんせん知識が無かった。社会全体に。

 

外国人(アジア系)への差別も、昔の方が酷いものだったと聞く。

実際、同じ外国人差別者でも若い人と老齢の人で感じが違う事が多い。

老齢の人のそれは、悪びれる様子が無いというか、本当に自然体。体に、心に馴染んでいるという感じを受ける。

 

最近、「子供の貧困」の統計が30年前より増えているとか、障害者が増加したとか聞くけど、そのものが増えたんじゃあない、当時は存在しない者とされていた。

 

差別、偏見、貧困が昔は当たり前の事だった。だから問題にすらならなかった。それが最近、ようやく問題視されるようになり、議論が起きている。進歩だと思う。

 

犯罪についても同様で、虐待や少年犯罪が増加傾向と、よく聞くが、単に検挙率が上がっただけじゃないの?

 

本当に小さい、子供の頃に見た、テレビのある視聴者投稿をいつまでも覚えている。

子供の友達が明らかに虐待されているのだが、めんどうで通報したくないという内容だった。

 

スタジオはちょっと気まずい雰囲気になったが、すぐ茶化して誤魔化して次の話題へ移り、私が知らないだけかもしれないけど、その後もそれについて、どこも誰も騒ぎにしなかったと思う。

 

そういう世の中だった。虐待は知らないフリが礼儀、貧困者は自業自得の罪人、性犯罪はされて当たり前、同性愛や性同一性障害は単なるワガママ、障害者は存在しない、企業や国は絶対的存在。これが恥ずかしげもなく常識として、まかり通っていた。

 

それに対して、最近ようやく疑問を投じる人達が増え、議論になるようになったから、良くないものが「増えた」と感じる人が多い。

 

「昔の人は元気だった、逞しかった」というCMが、ちょっと前に流れていて、そういう言論もよく聞く。

逆に言えば、元気でなく、逞しくない人は生きられなかったのだろう。