あらすじだけ読むと、非常に暗い話なのに、実際見てみると明るい前向きな気分になれるという不思議。
見せ方が良いのか、藤山直美が良いのか・・・・
藤山さん、実際は正反対と思われる、何十年も引きこもっていた女性を、違和感無く演じています。
悲惨な出来事をきっかけに、何十年かぶりに外に出て、行き当たりばったりの旅をするのですが
そこで親切な人達と出会い、素敵な王子様と結ばれて良かった良かった、という進み方でないのが、逆に良かった。
むしろ、上手くいかない事や悲しい事の方が多い。
しかしそれでも、悪い事ばかりでもなかったりする。
自分は引きこもった事はないけれど、自分のこれまで生きてきた人生と、そういう意味で重なって見えた。
安定した今だから言えるけれど、振り返ってみれば今までの苦労も、生きた手応えとして悪くなかったと思える。
理解してくれたり、理解しようと努力してくれた人も少なくなかった。むしろ、理解しようともしなかったのは、自分の方ではなかったか?
そんな今までの人生が肯定されたような気持になった。
逃亡生活を続ける中、藤山さん演じる正子の表情はどんどん明るくなる。化粧や服のお洒落にも目覚め、恋もする。
実は乗れるようになりたい、と思っていた自転車に乗れるようになり、最後は泳げるようにもなる。
その前に初体験を済ませるんだけど、なんと強姦だ。あと、流産も経験するし、自殺未遂もする。
見終わって思ったのは、外に出て人と関わるって、苦しい事もあるしそればかりな事もあるけど、それでも良い事だな、って事だった。